「プーチンの演出家」ウラジスラフ・スルコフの うすら寒くなるようなニヒリズムとは? 【橘玲の日々刻々】

「プーチンの演出家」ウラジスラフ・スルコフの うすら寒くなるようなニヒリズムとは? 【橘玲の日々刻々】

2018年のロシアワールドカップで、ロシアの勝利に赤の広場に集まるひとたち  (Photo:@Alt Invest Com)

ロシア(ウクライナ)系イギリス人のピーター・ポマランツェフは、2006年から10年までモスクワのテレビ局でリアリティ・ショー(ドキュメンタリー)の制作に携わった体験を『プーチンのユートピア 21世紀ロシアとプロパガンダ』(翻訳:池田年穂/慶応義塾大学出版会)にまとめた。そこでは、ロシアのメディアが“Nothing is True and Everything is Possible”(真実などどこにもなく、すべてがでっちあげ)という並行現実(パラレル・リアリティ)をつくりあげていることが、さまざまな興味深い事例とともに描き出されている。

[参考記事]
●現在のロシアは「ポストモダンの独裁制」。真実などどこにもなく、すべてがでっちあげの「モダンの偽物」で合理的な人間も陰謀論者になる世界

『プーチンのユートピア』の登場人物なかでも、際立って興味深いのはウラジスラフ・スルコフだろう。「クレムリンの創造主(デミウルゴス)」「ロシア史上最高の政治工学者」の異名をもち、それ以外にも「宰相(ワズィール)」「灰色の枢機卿」「オズの魔法使い」などとも呼ばれている。

 スルコフは2011年12月から13年5月まで、プーチン政権とメドヴェージェフ政権で副首相を務め、その後は20年2月まで大統領補佐官だった。その役割をひと言でいうなら、「プーチンの演出家」になるだろう。

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