いじめの解決には、教育に「科学」を導入し、いじめの温床に なっている「学校風土」を実践的に変えていく方途を探ることが必要 【橘玲の日々刻々】

いじめの解決には、教育に「科学」を導入し、いじめの温床に なっている「学校風土」を実践的に変えていく方途を探ることが必要 【橘玲の日々刻々】

いじめの解決には、教育に「科学」を導入し、いじめの温床に なっている「学校風土」を実践的に変えていく方途を探ることが必要 【橘玲の日々刻々】の画像

2019年版の『自殺対策白書』によれば、18年に10代で自殺した599人のうち、特定できた原因・動機のなかでもっとも多かったのは「学校問題」だった。岐阜市の市立中学3年生の男子がいじめを苦に自殺(自宅近くのマンションから転落死)したことも記憶に新しく、「これほどまで大きな社会問題になっているのに、なぜいじめを解決できないのか」と疑問に思うひとは多いだろう。

 今回は「いじめをなくす」という困難な課題について、子どもの問題行動(いじめや不登校、暴力行為)を専門とする和久田学氏の『学校を変えるいじめの科学』(日本評論社)をもとに考えてみたい。和久田氏は大学卒業後、20年以上にわたって特別支援学校で教えたのち、大学院で小児発達学の博士号を取得、以来、教育現場での経験と科学的根拠を融合させた啓発活動や教育プログラムの開発などを精力的に行なっている。

いじめを解決する方法はいじめの定義と対処法を「科学」によって示すこと いじめについては、10人いれば10通りの主張がある。すべてのひとが近代的な学校のなかで育ってきており、それぞれ個別の「いじめ体験」をもっているからだ。そのため、子どもがいじめについて大人(親や教師)に相談しても、異なるアドバイスが返ってくることになる。父親と母親で意見がちがうことも珍しくないだろう。

「いじめに気づいたらすぐに大人に相談せよ」と教えられても、これでは子どもたちは混乱し、大人に不信感をもつだけだ。

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