米大統領選前に考察 「世界最強の帝国」アメリカで今、起きていること、 これから起きることとは? 【橘玲の日々刻々】

世界じゅうから大きな注目を集めているアメリカ大統領選が2週間後に迫っている。「世界最強の帝国」でいったい何が起きており、これからどうなってしまうのか。今回はそんな興味で読んだ2冊を紹介したい。

“人工国家アメリカ”は望まずに「帝国」の地位に就くことになった 最初はジョージ・フリードマンの『2020-2030 アメリカ大分断 危機の地政学』(早川書房)で、原題は“The Storm Before The Calm(静けさの前の嵐)”。

 フリードマンは地政学の第一人者で、1996年にインテリジェンス企業「ストラスファー」を創設、政治・経済・安全保障にかかわる独自情報を各国の政府機関や企業に提供し、「影のCIA」の異名をもつという。世界的なベストセラーになった『100年予測』『続・100年予測』『ヨーロッパ炎上 新・100年予測 動乱の地政学』が翻訳されている(いずれもハヤカワNF文庫)。本書はそのフリードマンが、トランプ大統領誕生を受けて、アメリカの未来を予測したものだ。

 フリードマンはまず、「アメリカ社会は二極化し、崩壊に向かっている」という過剰な悲観論は無用だと述べる。1960〜70年代のアメリカは、ベトナム戦争の泥沼に引きずり込まれ、公民権運動で人種間の緊張が極限まで高まり、マーティン・ルーサー・キングやロバート・ケネディが暗殺され、ニクソン大統領が辞任した。

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