「加速するテクノロジーの融合」によって あらゆる格差はなくなり、すべての社会問題は解決できるのか? 【橘玲の日々刻々】

「加速するテクノロジーの融合」によって あらゆる格差はなくなり、すべての社会問題は解決できるのか? 【橘玲の日々刻々】

Photo :metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

「世界はどんどんよくなっているのか、それとも、どんどん悪くなっているのか?」この問いがいま、深刻な思想的対立を引き起こしている。世界がどんどんよくなっているのなら、その流れを加速させればいい。どんどん悪くなっているのなら、体制(システム)を根本的につくり変える必要がある。どちらを信じるかによって政治的立場が正反対になるのだ。

 アンドリュー・マカフィーはマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン大学院首席リサーチ・サイエンティストで、同僚のエリク・ブリニョルフソンとの共著『機械との競争』(日経BP)で、「人間はコンピュータとの競争に負けはじめている」と述べて大きな衝撃を与えた。ところがそのマカフィーは、新著の『MORE from LESS(モア・フロム・レス) 資本主義は脱物質化する』(日本経済新聞出版)では、悲観から楽観へと大きく展望が変わったようだ。その理由は、より少量の資源(LESS)から、より多くのもの(MORE)を得られるようになったからだ。

1970年頃からアメリカでは経済成長しているのに資源の消費量が減少しはじめた 30年前(1991年)の家電量販店ラジオシャックの広告には15種類の携帯端末型の電子機器が並んでいた。ところがいまや、計算機、ビデオカメラ、クロックラジオ、携帯電話、テープレコーダーなど13種類がポケットサイズの1台のスマホに収まっている。

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