ドラマは細部にこそ宿る〜テレビ東京開局記念日 ドラマ特別企画「破獄」

ギャラクシー賞月間賞:テレビ東京開局記念日 ドラマ特別企画
「破獄」

4月12日
21:00〜23:18
テレビ東京 ドリマックス・テレビジョン

 自由とは何か。吉村昭の同名小説を原作とする本作は、この問いを発し続ける。強靭な意志と肉体で脱獄を繰り返す殺人犯・佐久間とそれを阻止しようとする看守長・浦田の緊迫感あふれる攻防は視聴者を釘付けにする。ドラマを牽引するのは、佐久間の飽くなき自由への憧れだ。山田孝之の不遜な魅力を湛えた演技と底知れぬエネルギーを帯びた身体が、理屈を超えた佐久間の執念に説得力を持たせる。

 しかし本作の優れた点は、英雄視される佐久間とは異なり、自由を想うことさえ許されぬ看守たちをしっかりと描いている点にある。浦田を演じるビートたけしの無表情に近い老練な演技が、関東大震災で1000人の受刑者を救うために家族を見殺しにした看守の悲哀を静かに物語る。看守たちは法と規則にがんじがらめになりながら、戦争という歴史の転換点で佐久間に立ち向かい、徐々に追い詰められていく。なかでも中村蒼演じる野本が壊れていく様は切ない。幼い頃に鳥のように翔びたいと願い、木から落ちて寝込んだという佐久間の獄中生活は籠の鳥にたとえられるが、浦田は佐久間に言う。「おまえのほうが幸せな鳥だ」と。

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