軍事裁判音声記録の衝撃〜NHKスペシャル「731部隊の真実〜エリート医学者と人体実験〜」

ギャラクシー賞月間賞:NHKスペシャル
「731部隊の真実〜エリート医学者と人体実験〜」

8月13日放送
21:00〜21:49
日本放送協会

 旧満州で細菌兵器を開発し実戦でも使用した日本軍「731部隊」の活動については、これまでもさまざまな証言を基に紹介されてきたが、証言の信憑性を疑う声が時として上がった。そんななか、本作スタッフは、同部隊関係者に対して旧ソ連・ハバロフスクで行われた軍事裁判の音声記録を見つけだし、当事者の肉声という反論の余地のない事実から実相に迫った。人間、特にエリートたちの恐ろしさと弱さを見事にえぐり出した秀作である。

 番組の主軸となる音声記録では、日本の統治に反発して捕らえられた中国や旧ソ連の人々に対し、指先に無理やり凍傷を起こさせたり、細菌に感染させたりした人体実験の数々が事細かに語られる。異様だったのは、名門大学から部隊に参加したエリート医師たちの存在だ。部隊の「技師」とされた彼らが、多額の研究費につられて参加した事実も不快だが、それ以上に彼らを送り出した大学側に憤りを覚える。現地での防疫活動への貢献、すなわちお国のために奉仕する姿を軍部にアピールし、評価を高めようとする大学側の歪んだ競争心が透けて見えるからだ。しかしそれも非国民と罵られるのを恐れた、いかにも日本人的な忖度の結果かと思うと悲しくなる。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)