現代にも共感得る“インパール作戦”〜NHKスペシャル「戦慄の記録 インパール」

ギャラクシー賞月間賞:NHKスペシャル
「戦慄の記録 インパール」

8月15日放送
19:30〜20:43
日本放送協会

 本番組が放映された8月15日まで、無謀な作戦のことを「インパール作戦」と呼ぶのは死語だった。古い読み物で見かけるだけだったこの言い回しが、放送後にはツイッターに「#あなたの周りのインパール作戦」というタグも登場するなど、若い世代が日本社会の理不尽を表現する言葉としてもう一度使われるようになった。今年8月のNHKスペシャルは「太平洋戦争の記憶を、現代にどう現実感をもって届けるか」を意識した力作揃いだったが、なかでもこの作品は若い世代の心に強く訴えたと言えるだろう。

 1944年3月に始まったインパール作戦では、補給を度外視した計画により、誰もインパールにたどり着けないまま9万の将兵のうち3万人が亡くなった。当初3週間で攻略するはずが撤退決定まで数カ月を要し、太平洋戦争でもっとも無謀な作戦と言われている。番組では、司令部が大本営の意向を最優先し、現実に即した反対意見を「大和魂はあるのか」という精神論で否定した作戦決定の経緯を描き出した。また、牟田口廉也司令官に仕えた当時23歳の青年兵・齋藤博圀さんの手記からは、司令部では頻繁に「(日本兵を)何千人殺せばどこがとれる」という会話が交わされ、兵士を捨て駒としか見なかった姿勢が明らかになった。

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