突出して多い日本の精神科病床〜 ETV特集 「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」

ギャラクシー賞月間賞:

ETV特集

「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」

2月3日放送
23:00〜24:00
日本放送協会

 精神科病院退院後、自転車や電車で自由に出かけて40年の空白を埋めようとする「時男さん」を追いながら、日本の「脱施設化」の遅れを鋭く指摘した秀作である。古い映画で細部は違うものの『カッコーの巣の上で』のラストに窓を破って自由になるチーフと時男さんが、どうしても重なって見える。

 「原発の事故がなかったらずっと福島の病院にいたよ」と、40年の入院生活から解き放たれて、まるでドラマのワンシーンのように、スナックで穏やかに語る時男さん。大杉漣さんとも私とも同い年の66歳で、大杉さんが舞台デビューを果たし、私で言えばテレビ屋になって以来、東日本大震災直後までの40年間を精神科病棟に閉じ込められてしまったのだから、名状しがたい理不尽さを感じる。福島第一原発事故で避難指示の出た5つの精神科病院の患者を受け入れ、長期入院の必要性を精査している福島県立矢吹病院のおかげで、時男さんは退院できたのだ。

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