福島の人々の静かな怒り〜ETV特集 「忘却に抗う〜福島原発裁判・原告たちの記録〜」

ギャラクシー賞月間賞:ETV特集
「忘却に抗う〜福島原発裁判・原告たちの記録〜」

3月10日放送
23:00〜24:00
日本放送協会

 「忘却に抗う」は震災報道として「決して忘れてはならない」と強烈に主張した鋭利なタイトルだが、これは集団訴訟を起こした人たちの単なる闘争記録ではない。なぜ訴訟に及んでいるかを理解する手助けとするために、普通の生活がいかにできていないかを505人の原告のアンケートをもとに淡々と、人々の暮らしという目線で描くことにより説得力のある番組になっている。平穏に暮らしていた家や土地を突然奪われ、それまで何も不安なく口にしていたものが食べられなくなる。これがどれほど残酷なことかを、静かな怒りをもって訴えた視座を評価したい。

 小さなスーパーマーケットを経営する原告団長の中島孝さんは、試験操業で捕った地元の魚を扱えるようになったが、「安全が保証されていないのに、汚染された魚を売るんですか?」との原告団仲間の言葉に冷や水をかけられた気がしたと振り返り、地元の魚は安くて美味しいし、ほかの地域の魚は高いから「忘れたふりして食べている」とまで言う。

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