特撮モノの枠を超えた人間ドラマ〜 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー

ギャラクシー賞月間賞:
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー

2018年2月11日〜2019年2月10日放送
9:30〜10:00
テレビ朝日

 1975年から放送された「秘密戦隊ゴレンジャー」以来40年以上の長きにわたって続いている「スーパー戦隊シリーズ」で、いわゆる“特撮もの”と呼ばれる作品。タイトルどおり、「警察」と「快盗」というふたつの戦隊が登場するのがシリーズ中での本作の新しい試み。このふたつの戦隊と「ギャングラー」と呼ばれる犯罪集団(怪人)との秘宝「ルパンコレクション」をめぐる三つ巴の戦いを描いている。警察にはもちろん「世界の平和を守る」という正義があるが、義賊である快盗にも「大切な人を取り戻す」という正義があり、正義は必ずしもひとつではない。それでも共通の敵を前に早々に協力体制になるのではないかという予想をいい意味で裏切り、時に協力することはあっても、その際は必ず協力しなければならない理由を丁寧に描き、最後まで三つ巴の緊張感を保っていた。

 快盗側は警察の正体を知っていて、警察側は快盗の正体を知らないという構図に加えて、そこに両方の戦隊を行き来する人物も加えたことで、複雑で深みのある群像劇となっている。彼らの関係性が物語の進行とともに少しずつ変化し、同じセリフでも前半と後半とではまったく意味合いが違って聞こえるというような、1年間かけて描く連続ドラマだからこその人間ドラマを描いていた。愛さずにはいられない魅力的な登場人物とその関係性は、子どもや特撮ファンといった従前の視聴層以外の視聴者をも惹きつけていた。最終回も、仲良くなって幕というような安易な終わり方ではなく、最後にふたつの戦隊がまた戦いながら終わるという秀逸なラストだった。

 子ども向け特撮ドラマは、最も日本独自に進化を遂げたジャンルのひとつだ。また、1年かけて子どもの情操教育を担いながら、若手俳優の成長も見守る「ニチアサ」枠(スーパー戦隊+仮面ライダーシリーズ)は、日本のテレビ文化のなかでも特異な存在だ。本作は「ニチアサ」の大きな成果のひとつだと言えるだろう。ならば、「放送文化」全体に対する顕彰を謳う本賞が無視するわけにはいかない。 (戸部田 誠)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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