新興ジャーナリズムAXIOS モットーは読者をより賢く

文= ジャーナリスト
津山恵子

創業者は元ワシントン・ポスト編集者

デジタルメディア「AXIOS(アクシオス)」は、設立されて2年あまりだが、米メディア界で存在感を増している。大統領側近や議員から直接取材し、CNNのような主要メディアが報じないスクープを日々発信している。なぜ、そのようなことが新興の「ジャーナリズム・ベンチャー」に可能なのか。

 AXIOSから午前中に届くニュースメール「AXIOS AM」は、トランプ・ホワイトハウスに関する「スクープ」が日々満載だ。筆者も朝一番に読んでいる。

 AXIOSは、「読者第一」で「読者をより賢くさせる」ためのニュース提供を目指す。そのために、「賢い簡潔さ」という記事スタイルと、「エレガントな効率性」というサイトデザインを追求している。記事は、300ワード以内と新聞記事に比べると極めて短く、箇条書きを多用している。箇条書きによって、「今、知るべき、押さえておくことは、これとこれ」と、最新の出来事を知りたいが時間がない読者の時間をセーブすることを目指す。サイトでは、記事は最初の3分の1程度が表示されるだけで、「もっと詳しく」というボタンをクリックすると、全文が表示されるようになっている。

 AXIOSを創業したのは、元ワシントン・ポストの編集者で、政治ニュースサイト「Politico(ポリティコ)」を2007年に創業したジム・ヴァンデハイらだ。ヴァンデハイらは、ワシントン・ポストのデジタル戦略をめぐる議論の後、同紙を辞めてデジタルメディアであるポリティコを創業した。さらに、ポリティコをはじめとした広告モデルのデジタルメディアに対する懸念から立ち上げたのが、AXIOSだ。

 ヴァンデハイらが、こうしたスタイルを作り出したのは、「メディアは崩壊している――ほとんどがペテンだ」という理由から。これは、AXIOSのマニフェストに明記されている。

 「記事が長すぎる。そして、つまらなすぎる。(中略)フォードが、人々が本当に欲しいと思うようなすごいトラックを市場に出す代わりに、F―150(フォードを象徴するピックアップトラック)のエンジンの唸りやデザインにエンジニアがひどく執着している状況を想像できるか? あり得ない。でもそれが、デジタルメディアの企業がよくやっていることだ。彼らは、ジャーナリストがやりたいがままに、ジャーナリズムを生み出している。そして、記事を近視眼的なバズや収入を最大化するために、作り出している――読者にとって可能な限りベストな体験を送り届けるよりもだ」

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