ハイテクとバカテク融合の痛快時代劇〜スーパープレミアムドラマ「スローな武士にしてくれ」

ギャラクシー賞月間賞:スーパープレミアムドラマ「スローな武士にしてくれ」

3月23日放送
21:00〜22:59
日本放送協会 オッティモ NHKエンタープライズ

 「8K時代の最新機材で、池田屋事件のパイロット版を作ってほしい」。NHK技術ラボから未知の依頼を受けた京映撮影所の奮闘物語。ハイテクと昭和のバカテクの競演が大スケールのエンターテインメントになっていて、時代の変わり目にふさわしい快作だ。

 大部屋俳優と池田屋事件の撮影舞台裏という「蒲田行進曲」のフォーマット。スーパースロー撮影ゆえ、「せりふなし」「チャンバラの達人」の近藤勇役に万年斬られ役のシゲちゃん(内野聖陽)が抜擢される。カメラテストは、水を入れたゴム枕を内野自身が真剣居合い斬り。33倍のスピード撮影が可能な4Kカメラが、水の破裂やしぶきの1粒まで鮮明にとらえ、時代劇新時代の迫力と美しさに度肝を抜かれる。

 竹林を縫うようなドローンの空陸一体カットや、ワイヤーアクションを使った池田屋の階段落ちなど、「これどうやって撮ってんの」の舞台裏は、映画『カメラを止めるな!』に通じるワクワク感がある。ラボの若き主任、田所(柄本佑)いわく、「機材のポテンシャルを引き出せるのは、使う人間の経験と腕」。ハイスピードカメラを使うことで生じる「21秒の壁」を、国重五郎監督(石橋蓮司)率いる国重組の知恵とチームワークで突破するワンカット13人斬りのシーンはその象徴だ。デジタルな若者を悪者にしないプロ集団の心意気に、この作品の未来志向な明るさがある。

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