リメイク重ね、名ばかり名作ドラマに フジテレビ開局60周年特別企画 松本清張「砂の器」(フジテレビ 3月28日)

決定!第122回ダラクシー賞
文=桧山珠美

 いい加減に過去の名作の威を借りるのはやめにしないか。昨年末の「犬神家の一族」(フジテレビ)もアレだったが、今回の「砂の器」もかなり残念な作品だった。ついでにいうなら、テレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル「二つの祖国」も、テレビ朝日の「2夜連続スペシャルドラマ 名探偵・明智小五郎」も、どれもこれも、これじゃない感満載の名ばかり名作ドラマたち。昔の作品を知る視聴者はいいとして、今回初めてこれらの作品に触れた若い視聴者に、松本清張や山崎豊子、江戸川乱歩なんてこんなものか、と思われたらそれこそ先人たちに申し訳が立たないではないか。

 「二つの祖国」でいえば、とにもかくにも音楽が邪魔。レディー・ガガだのアデルだのイーグルスだの、監督のこだわり選曲らしいが、台詞が掻き消されるようなボリュームはいかがなものか。そのおこだわり要りませんから。「明智小五郎」も小ネタにギャグに妙な効果音。力を入れるところを完全にはき違えている。

 で、「砂の器」だ。多くの人が思い出すのは、1974年の映画(野村芳太郎監督)だろう。丹波哲郎と森田健作の刑事コンビ。加藤剛が演じた天才ピアニスト和賀英良。その愛人に島田陽子。和賀に殺される警官は緒形拳だった。

 圧巻はクライマックス。組曲『宿命』が演奏されるなか、極寒の雪の中、桜の春……お遍路姿で彷徨う親子に涙腺崩壊。日本映画史上屈指の名シーンでもある。

 ドラマ化は今回で6回目。だがどれも映画を超えるものではなかった。東山紀之と野村周平の刑事コンビ。和賀を中島健人、その愛人が土屋太鳳で、和賀の父は柄本明が演じた。

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