8年後の3.11報道、児童虐待の報道 被災地から食レポ? 児相の取材不足 記者の本気が足りない

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】75
文=水島宏明

東日本大震災被災地から中継した
有働キャスターへの違和感

 3月11日前後の東日本大震災の報道。8年という月日が経過して各局とも震災や原発事故の報道番組の熱量が激減したのを痛感した。それでもドキュメンタリーでは岩手で被災した旅館の女将らに密着したNHKスペシャル(3月9日)は秀逸だった。多額の補助金を借りて再建した旅館は、公共工事で一時は活況を呈しながらブームが去って客足が遠のき、返済期限が迫るなか廃業の瀬戸際に立たされている姿を描いた。ところがニュース番組ではこうした当事者の苦境を丁寧に取材して震災後8年を描いた報道はわずか。NHKは 「ニュースウオッチ9」(3月6日)が震災で住宅が傾いても居住可能と評価され、避難所、仮設住宅、災害公営住宅へと続く支援の流れに乗れなかった「在宅被害者」について特集した。まる8年となる3月11日の「ニュース7」で災害公営住宅での孤独死に焦点を当て、支援の不備などを問題提起した報道が光った。

 比べて、民放のニュース番組はマンネリが目立ち、底が浅い報道が目についた。鳴り物入りでNHKから民放入りした有働由美子アナを擁する日本テレビの「news zero」は期待はずれ。3月11日という節目は有働キャスターが自ら現地レポートしてコメント力を見せつける絶好の機会だったが……。移籍で彼女が強調した「ジャーナリスト」の底の浅さを露呈させた。

 被災地で活気を見せる企業を盛り立てる意図なのか、気仙沼の市場で生ガキなどを次々に「食レポ」。地元企業が作ったフカヒレのステーキを味わい、はしゃぐように「コラーゲンたっぷりでおいしい」「初めての味です」などとコメントした。ニュース番組だから被災地からいつも深刻な表情で、などと言うつもりはない。でも8年経った被災地で看板キャスターが現地から伝えるべきと考えたのがこれなのかと力が抜けた。日程の都合なのか彼女は復興が困難な現場には行きもしなかった。キャスターはどこに行き、何を語る役割なのか。自覚不足と言わざるを得ない。

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