8年後の3.11報道、児童虐待の報道 被災地から食レポ? 児相の取材不足 記者の本気が足りない

虐待のやり方を詳しく報道
模倣を誘発しないのか?

 「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」(東京・目黒区の結愛ちゃん5歳)

 「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」(千葉・野田市の心愛さん10歳)

 無残な虐待の末に命を奪われた女児らが大人に助けを求めて残した文字が放映されるたび、胸が痛むのは筆者だけではあるまい。児童虐待はこの国で今、何よりも優先して取り組むべき問題だ。それなのにニュース報道から記者らの「本気」が伝わらない。なぜなら最大の鍵を握る児童相談所(児相)の「現場」を実際に取材した映像がほとんど登場しないからだ。筆者も取材の経験があるのでわかるが、確かに児相の取材はハードルが高い。児相の職員たちが受ける電話の一つからして個人情報の塊。撮影許可も得にくいことはわかる。結果的に多くのニュース番組は児相という組織の構造や課題を伝えることよりも、次々飛び込んでくる虐待の詳しいやり方を伝えるという道を選んだ。

 日本テレビ「news zero」では、心愛さんの虐待死で逮捕された父親の再逮捕を続報した3月8日、別の虐待を報じた。床に横たわった6歳の男児を母親が怒鳴りながら何度も蹴りつける。その様子を13歳の兄がスマホで隠し撮りした動画がSNSに流れて拡散されたというニュース。「zero」は3月14日にも8歳の女児に対して両手両足を縛って水風呂に入れた両親が殺人未遂で逮捕された事件の虐待行為をCGでくわしく図解して再現した。自殺報道でも麻薬報道でも「実際にどうやったのか」というやり方を報道することに模倣を誘発するから避けるべきだと指摘する声は根強い。だが「zero」は他局以上に詳報した。

 他方で、「zero」は児童虐待で介入や支援の最前線といえる児相の実態を詳しく伝えない。児童福祉は勉強が必要な分野だが、他局を含めて一連の児童虐待で児相という現場が抱える構造的な課題について報道した番組は少なかった。

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