8年後の3.11報道、児童虐待の報道 被災地から食レポ? 児相の取材不足 記者の本気が足りない

各局が伝えた関連ニュース
しかし全体構造は見えてこない

 心愛さんの虐待死では児相が虐待を疑いながら、なぜ介入して彼女を保護し続けられなかったのか。児相と警察、検察、裁判所や学校、自治体などの関係機関、さらには医師や弁護士などの専門家らとの連携や情報共有、適切な対応がどこまでできていたのか。検証すべき問題は多い。そこで鍵を握る児相という施設が今はどういう現状にあるのかというのは肝心だ。児相の業務の実態がどうなっているか。「可視化」させて課題を整理すべきだろう。

 NHKの「ニュースウオッチ9」(3月13日)は虐待された子どもの保護のために児相内などに設置される一時保護所の数が不足している問題を提起した。

 政府は3月19日、児相の機能を強化する児童福祉法改正案と体罰を禁止する児童虐待防止法の改正案を閣議決定。この夜、テレビ朝日「報道ステーション」はスウェーデンで体罰を法律で禁止した後に件数が大幅に減った例を紹介。改正案で全国に54ある人口20万人以上の中核都市に児相の設置義務付けを検討したものの見送った経緯を伝えた。現状で、中核都市に児相を設置する2市のうち金沢市の取り組みを紹介し、中核市に児相がある意義を強調していた。

 TBS「報道特集」は3月23日に児童虐待に対応する、ある児相での職員の日常をカメラ撮影して報道した。虐待が疑われるケースで子どもを保護する一時保護所も映像で紹介し、心愛さんを死に追いやった父親のように暴言で威圧して子どもを取り戻そうとする親が後を絶たない実態を職員が赤裸々に証言した。そのほか虐待を受けた子どもや虐待した親の心をケアするNPOの支援も伝えた多角的な報道は評価に値する。

 2月25日には東京で児童養護施設の施設長が元入居者に殺害される事件が起きた。児童養護施設は親が養育できないときのための施設で、入所する子どもは大半が虐待経験者。児相も児童養護施設も予算や人員の不足がさまざまな問題の背景にある。単なる事件報道で終わり、全体構造を見据える視点が欠如していたのは残念。児童福祉の専門記者の養成は急務だ。

■ライター紹介文

みずしま・ひろあき 上智大学文学部新聞学科教授(テレビ報道論)、元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター兼解説委員、札幌テレビ・ロンドン特派員、ベルリン特派員。近著に『内側から見たテレビ』。

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