自分が自分を見捨ててはいけない〜NNNドキュメント'19「一四一冊目の春 くめさんが伝え続けること」

ギャラクシー賞月間賞:NNNドキュメント'19
「一四一冊目の春 くめさんが伝え続けること」

4月7日放送
25:00〜25:30
南海放送

 愛媛県の山あいに住む脊柱側弯症の小倉くめさんが、季刊誌『秘めだるま』を35年前から一人で出版していた姿を詩情豊かにスケッチした物語。制作した南海放送の伊東英朗ディレクターは、「放射線を浴びたX年後」で第50回ギャラクシー賞報道活動部門大賞を受賞した社会派のドキュメンタリストだが、実は2003年から並行してくめさんも取材しており、昨年愛媛ローカルで放送された「一三七冊目の春」はテレビ部門に応募をしている。ノーナレで叙情詩のような前作に対して、今回はナレーターに余貴美子を起用し、新たな取材を加えたドキュメンタリーを仕上げた。

ノーナレが一つのカテゴリーをつくった感があるが、近年過剰なナレーションやBGM、SEを多用する手法に異を唱える秀作が次々と誕生している。この番組も狙いはそこにあるようで、静かに吹く風の音を大切にし、ナレーションを最小限にしている。今月の私評で梅田委員がナレーションの重要性を書いているように、深みのある余貴美子の起用は成功したと言える。

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