平成から令和へ、チャンスを生かした名企画〜水曜日のダウンタウン「新元号を当てるまで脱出できない生活」

ギャラクシー賞月間賞:水曜日のダウンタウン
「新元号を当てるまで脱出できない生活」

5月8日放送
22:00〜22:57
TBSテレビ

 平成から令和へと元号が変わる、歴史上ただ一度しかないタイミング。これまでも数々の名企画を生み出してきた「水曜日のダウンタウン」が、乾坤一擲の大勝負に出た。その名も「新元号を当てるまで脱出できない生活」。同番組で初めて、1回の放送を1つの企画で構成した。実力派だがいまいち売れていない芸人・ななまがりが新元号発表前日に埼玉県某所に監禁され、新元号「令和」を当てるまで出てこられない。この絶対にやり直しの効かない企画を1組の芸人、1回のロケに賭けた胆力に驚嘆させられる。

 無謀にも思える挑戦を支えているのが、論理的な企画の構成だ。監禁生活は、福本伸行のマンガ『カイジ』シリーズを思わせるルールのもとで進行する。5分に一度回答しながら、ミニゲームで貯めたお金で生活必需品や正解のためのヒントを購入する。視聴者の「お風呂かヒントか、自分なら……」という想像をよそに、二人がまず選んだのはタバコ。それぞれの値付けも絶妙にいやらしく、人間の業を見た気にもなる。

 監禁5日目に1万円で購入したヒントは、回答に対して一定のルールで明滅する電球。仮説の設定と検証の繰り返しで明滅の法則を見出して正解にたどり着く終盤は、科学的手法というものを確立した人類の知性を称賛したくなる……とまで言うと大げさだが、「人間捨てたもんじゃない」と言いたくなる感動があった。

 ゲームとしての面白さもさることながら、この番組で初めて「令和」という元号への率直な気持ちをテレビと共有できた気もした。二人が手探りで「安」の字が入るのではないか、「R」は頭文字にならないのではないか、と考える過程は、ほとんどの日本人の脳裏で一度は展開されたのではないか。R18年が来る可能性があるなんて、思った人がいるだろうか?

 新元号を発表した官房長官は「令和おじさん」として名を売り、次期首相候補と報道された。であれば、この企画で人間味と知性と「歯姫」と言い出す破壊力を見せたななまがりは「令和芸人」としてブレイクできるのではないか。いや、してほしい。(藤岡美玲)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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