シリアスな問題を笑いに包む〜バリバラ「スケッチコメディー〜障害者が職場にやってきた〜」

ギャラクシー賞月間賞:バリバラ
「スケッチコメディー〜障害者が職場にやってきた〜」

5月16日、23日放送
20:00〜20:30
日本放送協会

 「バリバラ」はマイノリティ目線でマイノリティ自身を発信、マジョリティとの見えないバリアを笑いで打ち壊そうという情報バラエティ番組。2012年に「障害者のための」番組として放送開始、16年から「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー」(HPより)のための番組へと進化した。そのバリバラのスペシャル企画「スケッチコメディー〜障害者が職場にやってきた〜」は、障害者が実際に経験したことをもとに、採用面接から着任、新人歓迎会など、新人が職場に着地しようという段階を時系列的に7つのコントで構成したコメディだ。

 障害者法定雇用率2.2%達成を目指す大阪の三流企業、バリバラ商事。フルタチ部長(古舘寛治)率いる職場にはダウン症、脊髄損傷による車椅子使用者、視覚障害、発達障害、高次脳機能障害・難聴をもつ新人がやってきた。この5人を登場人物と同じ障害をもつ当事者が演じる。健常者の必要以上の気遣いや思い込み、勘違い。新人の戸惑いやつまずきをきっかけに、不便さを理解するため車椅子やアイマスクを使ってみるフルタチ部長など、健常者社員が意識と業務をどう見直せば問題化せずに吸収できるか、その簡単な対処法を示し、各編最後は歌と踊りで「まとめ」。

 コントはあくまでコメディに留まり、背景にある障害者雇用のゴールは採用数比率ではなく就労者の比率というメッセージをリアルの世界に落とし込むのは、コント前後に挟むスタジオでのレギュラー陣・出演者のトーク。

 MCの義足スプリンター・大西瞳の「実際の職場は余裕がない……障害者側もどんどん言っていくことが大事」、障害者相談支援専門員を務める玉木幸則の「車椅子に1回乗っても、ずっと乗ってる人の気持ちはわからない……こういうとこが使いにくいという感覚がわかるだけ」など、まさにバリバラ商事の社是のひとつ「障害はだいたい社会の中にある」に収斂する。シリアスな問題を笑いに包み「食べやすいが、よく噛んでくれ」という制作者の思いが伝わる。(細井尚子)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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