「YOUは何しに〜」日本バージョンの不発 火曜エンタ「はじめて東京行ってみたら? 秘境から…夢が叶った!奇跡連発SP」(テレビ東京 6月4日)

決定!第125回ダラクシー賞
文=桧山珠美

 「そんなわけないやろ!」。思わずテレビの前でツッコんでしまった。「はじめて東京行ってみたら?」は日本の秘境や離島に住む、まだ東京に行ったことのない人を探し、東京へご招待する番組だ。さっくり言えば「YOUは何しに日本へ?」や「世界!ニッポン行きたい人応援団」の日本人版といったところ。

 今回は4組が東京へ招待されたが、そのなかの1組があまりにもできすぎていたのだ。

 長崎県・五島列島に住む倖田來未大好き一家。東京に行ったら倖田來未に会いたいと言う。その手段は、倖田來未のインスタグラムを頼りに、そこに挙げられている写真の場所を探し出して、同じ場所に行くというもの。この東京で倖田來未を探すなんて、池の水を抜いて落としたコンタクトレンズを探すくらい不可能なことだ。

 最初に訪れた新宿西口。当然、そこにいるわけもなく、せめてもと同じ場所で同じポーズをして記念写真をパチリ。捜索はさらに続く。インスタによく出てくるカフェを探して、代官山から表参道、そして六本木へ。もちろん、どこにも倖田來未はいない。

 そりゃそうだ。東京に来て30年になる私ですら、道で芸能人に遭遇するなどめったにない。思い起こせば30年前、東京に行けばマッチやトシちゃんに会えるに違いない、と期待を胸に上京したが、最初に見たのは左とん平だった。もっとも興奮したのが天本英世。ある店で食事をしていたら、隣に「仮面ライダー」の死神博士が来たのだからそりゃ驚いた。近々では散歩の途中で佐藤蛾次郎を見掛けたくらいのものだ。

 ところが、奇跡は起こる。もう無理かも、と一家が諦めかけていたところ、インスタに新たな投稿が……。「表参道のカフェで打ち合わせ」とかなんとか。「これって最初に行ったカフェだ。8分前の投稿だよ」と慌ててその場所へ駆けつけるも、倖田の姿は見当たらず、店外で待つことに。と、そこに向こうから歩いてくる倖田來未を発見! 駆け寄って事情を説明すると、ファンに優しい倖田は「時間ある? お茶する?」と誘い、そこで、サインや写真など求められるままに応じ、めでたしめでたし。 

 さすがにこれはないだろと、眉に唾つけて見ているこちらとは対照的に、スタジオでVTRを見ていたタレントたちは「奇跡だ」「こんな凄い瞬間見たことがない」と大袈裟に驚く。その温度差たるや……。奇跡を装った演出ならふざけんなよ、だ。 「川口浩探検隊」でももっとうまく騙してくれたぞ。どうしたテレ東!? ということで、今月のダラクシー賞を贈る。

ひやま・たまみ 昨年買った無花果の木が3つ実をつけていて感動。水やり以外、なにもしなかったのに……。 恐るべし、生命力! 無花果は父の大好物で、欲張っていくつも食べるものだから、母に叱られていたことを想い出します。

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