女性キャスター・記者が伝えるニュース 地道な取材がニュースの基本 女性たちに期待大

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】77
文=辻 一郎

リニューアルした「NEWS23」
メインキャスターは局の顔

 6月3日、「NEWS23」(TBSテレビ)がリニューアルし、星浩を除くキャスターが全員交代した。どんなニュース番組が誕生するのか期待したが、始めのうちは、がっかりの連続だった。まず困ったのはあまり面白くない特集に力を入れ、その日の出来事を丁寧に伝えるという基本をおろそかにしていたことだ。この日の最終ニュースなのだから、まずは今日一日何があったかを着実に伝えるのが第一なのに、それができていない。次にスポーツコーナーの騒々しさにも辟易した。全仏オープンで錦織が大接戦を制したニュースで、スタジオで拍手までしたのはやりすぎだ。日本選手を応援するのはいいとしても、許容の範囲を超えている。

 ところが2週目に入ったころから様相が少し変わり、特集が組まれなくなってニュースが増え、星浩の出番も多くなった。それとともに小川彩佳の存在感が見えてきた。なによりも自分の言葉で語っているのがいい。まだ緊張感が漂うが、早く自信満々で仕切ってほしい。

 この小川は周知のように、昨年9月まで「報道ステーション」(テレビ朝日)でサブキャスターを務めていた。その彼女の起用に当初私は、疑問を抱いていた。なぜならキャスターは男女の別を問わず局の顔であり、新聞で言えば「天声人語」などを担当するコラムニストで花形記者だ。そのキャスターに他局のアナを招くのは、他社の記者にコラムを委ねるのと同じだと考えたのだ。だからまずは「社内で探せ。だめなら系列内で探せ」となって当然だし、探せばそれなりの人材が見つかるはずだと考えた。だが小川の役割が飲み込めるにつれて疑念が和らぎ、「この形を作りたいから口説いたのだ」と納得できたし、「だから応じたのだ」と理解もできた。これとよく似たケースには、有働由美子の例がある、「私がしたいのはニュースを通して視聴者と向き合い、一緒に考えること。NHKではそれができない」と、彼女は「news zero」(日本テレビ)に移り、今や番組の牽引車になっている。「news zero」の軟派ニュースや話題重視の編集方針には賛成できない私だが、「会話するニュース」をコンセプトに、「ホンネ感」を大事にする彼女の伝え方は悪くない。小川も有働と同様、今後も大役を着実にこなし、新しいニュースの形を作ってほしい。

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