マイノリティを見つめた瑞々しいドラマ〜よるドラ「腐女子、うっかりゲイに告る。」

ギャラクシー賞月間賞:よるドラ
「腐女子、うっかりゲイに告る。」

4月20日〜6月8日放送
23:30〜24:00
日本放送協会

 同性愛者の高3男子と、BL(ボーイズラブ)の漫画を愛する腐女子。2人の“交際”が、やがて学校を巻き込む大騒動へと発展していく。「ゲイ」と「腐女子」の額縁で、ド直球の青春ドラマを描いた快作だ。

 タイトルはコメディだが、性的マイノリティの苦悩に正面からフォーカス。主人公の安藤純(金子大地)がチャットの親友、ファーレンハイトと交わす知的な会話が印象的だ。「人間は自分で理解できるように世界を簡単にする」「物理の『ただし摩擦はゼロとする』みたいな?」。ゼロではないのに例外として省略される存在。作品全体に貫かれた問いかけだ。

 「普通」が欲しくて三浦さん(藤野涼子)と付き合うものの、結局傷つけてしまう。道を見失い、クラスに秘密を知られ、尊敬するファーレンハイトももういない。安藤君の孤独を、金子大地が端正に、心を込めて演じてくれた。水族館で、頭上を泳ぐペンギンに手を伸ばす一瞬の美しさ。最終回に見事に回収されるこのシーンを、彼で見られて幸せだった。

 腐女子らしい、ちょっとしたイタさで安藤君の心をぐいぐい引っ張る三浦さんの馬力も作品の光となった。全校集会での爆弾スピーチ。「安藤君が作っている透明な壁は、自分を守っているのではなく、私たちを守っているんです」という視点にハッとした。あらゆるものに目を向ければ、誰もが何かのマイノリティ。私の何かも彼女に救ってもらったのだと感じた。

 各話に安藤君が好きなクイーンの名曲がちりばめられ、2人の疾走感に生き生きと寄り添った。最後のデートは、フレディ・マーキュリーが別れた恋人メアリーのために作ったバラード『ラブ・オブ・マイ・ライフ』。結婚して子どもを作る男女の形にはなれなかったが、魂でつながっていた2人の関係が安藤君と三浦さんに重なる。「僕をちゃんと見てくれて本当にありがとう」。すてきな別れに、一気に涙が出た。

 同性愛者が存在する理由。「神様は腐女子なんじゃないかな」。作品が出したポップでキラキラした答えに、私も「あきれるほど納得」した。(梅田恵子)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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