難民認定率0.2%という立ち遅れ〜ETV特集「バリバイ一家の願い〜“クルド難民”家族の12年〜」

ギャラクシー賞月間賞:ETV特集
「バリバイ一家の願い〜“クルド難民”家族の12年〜」

6月22日放送
23:00〜24:00
日本放送協会

 国を持たない最大の民族と言われるクルド人は世界に2500万〜3000万人いるといわれ、さまざまな苦難を強いられている。日本にもトルコとの相互ビザ免除制度により迫害を受けたクルド人が難民となって入国し、知り合いをたどって埼玉県蕨市周辺に多く集まるようになり、ワラビスタンとまで呼ばれていることは、この選評を書くために調べて初めて知った。来日後父親が自殺し、四男が長期間強制収容された五男二女のバリバイ一家の悲鳴を絞り出した番組である。

 不法滞在の外国人は全国で1246人が収容され、その半数以上が6カ月以上の長期収容で、なかには自殺者もいるというのは驚かされる実態だ。また、仮放免されても解体業など危険な仕事に就かざるを得ない現状があり、四男の後遺症的な拘禁性うつ病や五男の原因不明の頭痛なども一家を不安に陥れる。

 先進7カ国中、難民認定率が0.2%と最低であることも番組で指摘しており、出入国在留管理庁長官のインタビューで「現状に即した数字」に詰まるシーンは視聴者に問題点を考えさせた、効果的な編集だ。12年も難民申請が認められないなら「入国を禁止して申請できないようにしたほうがまし」という母親の言葉が突き刺さる。この日本の難民対応の遅れは、地理的にも歴史的にも他民族との接点が少ないからなのか、国際感覚が乏しいからなのか、官民ともに徹底的に検証し、改善していかなければならない事態と言える。

 時あたかも、改正出入国管理法が4月1日から施行され、外国人受け入れ拡大につながる可能性はあるものの、依然、難民の救済にはなっていない。少子化で労働力不足が懸念されて久しいが、国を挙げ、世界中に目を向けた入国管理の見直しが求められている今、この番組の指摘は月間賞に値する。

 子どもの権利条約批准国の日本ではすべての子どもが教育を受けることはできるが、友だちのいるサッカーチームの高い費用は一家の負担だ。それでも、何とか少し安い費用のチームを兄の四男が探し出し、希望を見出すシーンには救われる思いだった。(福島俊彦)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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