「対韓輸出管理強化」報道 未来志向の視点は十分か?求められる慎重さ

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】78
文=伊藤友治

日韓対立の新たな火種
夜のニュースの鈍さに失望

 日本と韓国。この「近くて遠い国」の関係は一筋縄ではいかない。特に昨今は元徴用工問題などを巡る互いの不信や嫌悪が鬱積するなかで悪化の一途を辿っている。対話の絶好機と期待された6月末のG20首脳会議(大阪市)だが、来日した文在寅大統領と安倍晋三首相の首脳会談が個別に組まれることはなく、儀礼的な挨拶にとどまった。わずか8秒の握手映像は冷え切った両国の関係を内外に強く印象付けた。

 G20の閉幕から数日後、日本政府はこの時機を見計らったように韓国政策の転換に舵を切った。「(韓国に)安全保障上の不適切な事案があった」ことを理由に、フッ化水素など半導体の製造に不可欠な3品目の輸出管理手続きを厳格化する一方、韓国を「ホワイト国(安全保障上の友好国)」の優遇枠から除外する方針を明らかにしたのである。日本側は「報復措置ではない」と強調したが、額面通りに受け止める見方は少ない。韓国側からさらなる反発を呼び起こし、抜き差しならない「対決」「敵対」の事態に陥ってしまう恐れさえある。一報を聞いて、私なりに重大なニュースだと直感した。

 各局の報道・情報番組は新たな日韓の火種をどのように伝えるのだろうか。7月2日の夜から各局の報道を注視することにした。2日は、「報道ステーション」(テレビ朝日)と「FNN Live News α」(フジテレビ)は対韓輸出管理の厳格化方針をきちんと伝え、今後の成り行きが懸念されると論評していた。残念だったのは6月初旬に刷新された「NEWS23」(TBSテレビ)と「news zero」(日本テレビ)の両番組だ。日韓問題には最後まで触れなかった。その日一日の出来事を着実に伝えるべき主要番組のニュース感覚と報道姿勢に疑問を感じると同時に失望した。

 翌日以降も九州南部の豪雨災害報道や参院選公示などの陰で日韓関係に焦点を当てた報道は見聞しなかった。ところが週末に入ると、状況は様変わりする。6日の「ウェークアップぷらす」(読売テレビ)と7日の「サンデーモーニング」(TBS)がそれぞれトップ項目で特集するなど各局の報道ぶりに熱がこもり出した。その取り上げ方や内容は各局、各番組まちまちだ。

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