現代版にアップデートされた変身番組〜サンバリュ「50日間で女性の顔は変わるのか!?」

ギャラクシー賞月間賞:サンバリュ
「50日間で女性の顔は変わるのか!?」

7月21日放送
13:15〜15:00
日本テレビ放送網

 

越谷レイクタウンでスカウトしたシングルマザーが、超高級女性ファッション誌の編集部で働いたら? 男性に顔を晒したくないという漫研女子が、イタリア人に褒められまくったら? 「人は環境で変わるのか」を検証する、ありそうでなかった実験VTRと、マツコ・デラックスががっぷり組み合う。両者の緊張関係によって、変身番組が現代版にアップデートされた。

 

登場する4人の女性たちは、50日の間番組がいうところの「気分が上がる環境」に置かれて、みな垢抜けていく。冒頭に挙げた例でわかるように、変身前と変身後の対比が絶妙だ。正直、ド田舎から上京してきた者からしたら、越谷レイクタウンも『25ans』(女性誌)も同じ都会の文物だが、微細に思える両者の間の壁が超えがたいものであることは、みなが知っている。それを「超える」ことをバラエティにして見せることで、まずは細かい格差が固定化され、それを当然と思うようになった日本の現在に気づかせる。「人は環境で変わる」というのは、かつては変われる可能性を示すポジティブな言説だったが、今では環境を変えることの困難さを示すぬるっとした絶望の響きがある。

 

そこで生きる女性が「変身」するときに、それを肯定しきれるのか。マツコのツッコミが、常にその点を留保する。「つまらない女がまた一人増えた」「みんな気づいてないのよ、本当に大事なことに」という毒舌で、変えがたい環境で生きる現実を否定することを避け、他の変身ものにありがちな自己啓発的な押し付けがましさも生じさせない。たぶん、これが今の変身番組に必要な温度感なのだ。

 

VTRにMCが突っ込む形式の番組は見飽きたかなと思っていたが、この番組には「このVTRにはこの出演者でなければならない」と納得させるパワーがあった。冒頭でもう一人のMC・吉村崇が「史上最短の打ち合わせ」だったと言っていたが、これは最高密度の打ち合わせだったと言えるのではないだろうか。

 

とはいえ、変化後の環境がほぼ「女磨き」系だったのは少し気になる。男性版も見てみたい。(藤岡美玲)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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