政権がかわるとテレビ局のトップがかわる

文=ジャーナリスト
安 暎姫

信頼性低かったMBCニュース

 韓国人が「ロウソクデモ」によって保守系だった朴槿恵前大統領を弾劾してから2年。今度はソウル光化門にロウソクを手に集まった。反日・不買運動を表明する団体が主となっている。反日デモに反対する団体もいる。

 現在、韓国の地上波テレビのメインニュース視聴率は、「KBSニュース9」が10・4%と最も高く、「SBS8ニュース」は3・8%、「MBCニュースデスク」は2%となっている(2019年8月11日)。KBSとMBCはどちらも政府の息のかかったテレビ局といえるが、なぜここまでMBCニュースの視聴率が低いのか。それは、MBCへの韓国人の信頼のなさからきているものだ。

 2011年2月13日の「MBCニュースデスク」で、ゲームの暴力性を調べるための実験と題し、ゲームをしている人の多いPC房(ネットカフェのような場所)で、任意にすべての電源を遮断し彼らの反応を見た。当然ゲームの途中でパソコン画面が消えてしまい、そこにいた人たちは怒ったり攻撃的な言動をしたのだが、ニュースでは「このような言動はオンラインゲームのせいである」とし、「オンラインゲームが人々を乱暴にする」と結論付けた。

 また13年2月18日には、筋肉量の多さが政治的傾向を左右すると報道。中産階級の男性二人を登場させ、二の腕の太さを測り(35センチの男性と31センチの男性)、両者に「富の再分配についてどのように考えるか」と聞く。35センチだった男性は「より貧しい人のための過渡な税金は不当」と答え、31センチだった男性は「貧しい人に分けるのは国家の義務」と答えた。その結果を、筋肉の多少が政治的傾向に影響を及ぼすと結論付けたのだ。ほかにも、気象ビッグデータを解析した結果「雨の日はソーセージパン、晴れの日はサンドイッチがよく売れる」と報道したこともあり、韓国人はMBCの報道を信頼できなくなっている。

 朴政権時、MBCとKBSの社長は御用社長と呼ばれ、反感を持った労組の反対デモが盛んだった。特にMBCでは、反対デモをしたディレクターや記者、アナウンサーたちを閑職に追いやり、結局辞職させられる人々が後を絶たなかった。フリーになった人たちはユーチューブなどのニューメディアに大挙進出し、自ら声を上げ始めた。

 しかし、朴前大統領が弾劾によって失脚し、17年、野党だった民主党が政権を握ると、同年末に以前の大量解雇でMBCを離れた元ディレクターのチェ・スンホ氏がMBC社長に返り咲いた。すると、前政権についていた人たちへの報復人事が始まった。そこでまた辞めた人たちがユーチューブへ進出した。結果、現在韓国では地上波よりユーチューブでニュースを聴く人が多くなった。

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