テレビの可能性示す新しいドキュメント〜「ポツンと一軒家 2時間半スペシャル」

ギャラクシー賞月間賞:「ポツンと一軒家 2時間半スペシャル」

10月13日放送
18:30〜20:56
朝日放送テレビ

ラグビーワールドカップ日本躍進の象徴となったプールA・スコットランド戦のまさにその日、レギュラー放送1周年スペシャルは世帯視聴率が関東・関西共に16%超。番組に安定した支持層があることを示す結果となった。取り上げてきた一軒家で暮らしている人はなぜだろう、みな元気で表情が明るい。それを伝え続けてきたこと、そして中高年を中心にしっかりした視聴基盤を構築したということがまず評価できる。

 番組は一軒家で暮らす住民にスポットを当てその人生ドラマに迫りながら、MC陣が視聴者目線でその報告を見るスタイルを取る。普通の都会暮らしでは味わえない自然や風土などが見られる紀行的要素も人気の要因の一つだ。今回のスペシャルでは、まず一軒目に北海道の原野の森のなかで暮らす夫婦が登場。ひょんなきっかけから絶滅が危惧されるシマフクロウの保護に乗り出し、コツコツと個人でそれを続けてきた生活が紹介される。しかしその様子を通じてシマフクロウがいかに貴重な鳥であり、その生態はもちろん、保護のためにどれだけの手間が必要なのかが、彼らの一軒家での生活から見えてくる。

 そのテーマを報道やドキュメンタリーで取り上げることは可能だろう。しかし保護のために場所や住所などを特定できないよう制限しつつ、かつわかりやすく伝えることは難しい。人物バラエティの形態を取るこの番組だからこそ可能となったともいえる。

 二軒目では同番組でかつて話題となった山奥の神社を再訪、番組で取り上げたことが契機で人生そのものが幸福に大きく変化した様子が紹介され、番組の「効果」が検証される。また三軒目では祖父母と暮らそうとする高校生のひたむきな姿から、地域と高等教育の問題を考える大きなきっかけも得られていく。

 この番組はもはや単に家族愛や紀行を要素とするのではない。その暮らしざまから実に多様な社会問題やテーマに取り組むことができる、テレビ番組の新たな可能性を示唆してもいる。それが視聴率にも表れているのだといえるのかもしれない。(兼高聖雄)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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