見て見ぬふりにはしないこと〜 NNNドキュメント'19「なかったことに、したかった。未成年の性被害(1)」/NNNドキュメント'19 「なかったことに、できない。 性被害(2) 回復への道は」

ギャラクシー賞月間賞:
NNNドキュメント'19
「なかったことに、したかった。未成年の性被害(1)」
NNNドキュメント'19
「なかったことに、できない。 性被害(2) 回復への道は」

10月6日、13日放送
25:10〜25:39、25:05〜25:34
日本テレビ放送網

 性犯罪の被害者の4割は子どもで、加害者の8割が顔見知り、というデータがあるという。番組に登場する女性たちは、子どもの頃に遭った性被害について、思い出したくはない出来事であろうことを、語る。

 その多くが、教師や父親から被害を受けており、「これはみんながやっていること」「大切な子にすることなんだよ」と言われることで、納得させられていたとがわかり、何も知らない子どもの状況を巧みに利用していることにまず腹が立つ。

 周りの子は、拒否したことで被害を免れていると知ると、今度は自分が悪いのではないかと思うようになったり、あまりにも辛い思いをしたことで、あったことをなかったことにしたくなることも多いという。

 また、被害者から共通して聞かれるのが「ドブみたい」「下水」「毒壺」と、自分自身が汚いもののように思っている言葉だ。ある女性は、過食嘔吐をして自分のなかから「汚物」を出そうとしたとさえ語る。

 現時点で頼れるものとして、法律があるはずだが、日本では2018年に刑法が110年ぶりに改正されたものの、13歳以上の場合は、強い抵抗がなければ加害者を罰せられないという。暴行に強い抵抗をすれば命にかかわることもある。こうしたことでも、「なかったこと」にされているケースは多いのだ。

 番組では、セカンドレイプについても説明する。家族や近しい人がよかれと思って言った「忘れなさい」という言葉がいかに彼女たちを傷つけるか。

 こうした状態を少しでも打開するには、周囲の人が「あなたは間違ってないよ」「辛かったね」と肯定することで、精神科の医師も「言っていることを信じてあげること」だとし、そしてPTSDの治療が有効だとしてすすめる。

 被害者の女性たちが辛い気持ちを語る姿を見るのは、胸が痛むが、語ることで少しでも気持ちが安定したのならいいと思うし、この番組を見た人が、ひとりでも見て見ぬふりをしないことが、この番組を作った人の願いだと感じた。(西森路代)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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