テレビの災害報道 防災・減災情報の発信は十分か?網目の粗い情報選別に落とし穴

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】82
文=伊藤友治

曲がり角にきたテレビの災害報道
秀逸な企画・特集は多いが……

 テレビの災害報道は大きな曲がり角に差し掛かっているのではないだろうか――地震は別としても、気象衛星などの発達で精度の高い予知・予報が可能になった強風・大雨・洪水・氾濫・土砂災害などの報道についての問題提起である。9月の台風15号と10月の19号は全国各地に甚大な被害をもたらした。その発生から接近、上陸、通過という一連の報道を視聴していて、その思いを一段と強くした。

 数年来、南太平洋で発生し日本列島に来襲する熱帯低気圧の大型・強大化がより顕著になった。台風だけでなく局地的な長時間の集中豪雨被害も頻発している。そうした異常気象の常態化が災害報道の在りようを見直す一大要因になっていると私は考える。

 では、災害報道の何を見直し、何をどう改善すべきなのか。本稿の要点は論議の展開上、後で詳述する。誤解を避けるためにあらかじめ断っておきたいのは、災害報道の在りようや手法全般について異を唱える意図はまったくないということである。実際、各局の番組を視聴し「秀逸だ」と感じる特集や企画は数多くあった。

 2、3例を挙げるなら11月4日放送「Nスタ」(TBSテレビ)は井上貴博キャスターが千葉県鋸南町の被災現場を取材・報告する特集を組み、家屋の大部分が損壊した被災者の男性を取り上げた。映像を見ると、屋根の部分は剥ぎ取られ、家屋を支える柱も剥き出しだ。とても住める状態ではない。しかし、町当局の被災認定では「半壊」とされ、支援金の受給は見込めないという。番組では「全壊」と「半壊」を分ける区分の基準や補償額の違いなどをわかりやすく紹介していた。

 11月12日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)は、台風の被害が意外な場所にも及び、新たな危険性を派生させていることを伝えた。千葉県富津市が運営する動物園で、飼育用の垣根が損壊した結果、100匹近い猿が園から逃げ出し、住宅街で野放し状態になっているというのだ。ところが、市側は「垣根を修復できる目途が立っていない」ことを理由に、その事実を1カ月にわたって公表していなかったという。

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