アーティストが問いかけた「芸術とは何か」〜目撃!にっぽん「激論の“トリエンナーレ”〜作家と市民の75日〜」

ギャラクシー賞月間賞:目撃!にっぽん
「激論の“トリエンナーレ”〜作家と市民の75日〜」

11月17日放送
6:10〜6:45
日本放送協会

 テロ予告や脅迫の電話が相次ぎ、開幕からわずか3日で展示中止に追い込まれた「表現の不自由展・その後」。従軍慰安婦をモチーフにした「平和の少女像」などに抗議が殺到した。そもそも表現の自由について議論を深めようという企画展が脅迫によって中止となったことで、社会に大きな波紋が広がった。

 この番組が月間賞に選ばれたのは、展示の再開に向けて立ち上がったアーティストたちにスポットをあて、彼らが市民と本音で議論を交わす姿を丁寧に追いかけることで、「芸術とは何か」「表現の自由とは何か」を私たちにわかりやすく問いかけてくれたからである。 

 企画展の中止から3週間後、アーティストたちは誰でも参加できる対話の場を開設した。SNSを通じて展示を批判する市民にも参加を呼びかけた。駆けつけた市民からは「表現の自由とか偉そうに言っているけど、尊い憲法を悪用した政治的プロパガンダだ」「自由を獲得したかったら自らのお金と場所でやるべき。税金を使うのはおかしい」との声があがった。一方、アーティストたちは「美術作品というのは一つの解釈やメッセージで何かを伝えようというプロパガンダではない。作品を通してさまざまな解釈や意見が生まれてくるもの」と自らの思いを語った。その後、アーティストたちは電凸の殺到に対応するため自らコールセンターも開設。展示の再開に反対する河村たかし名古屋市長にも対話を呼びかけ、「市民の多様な意見を担保するのが行政の責任ではないか」と迫った。「不自由展」は物々しい警備のなか65日ぶりに再開された。

 アーティストと市民との間の議論は平行線ではあったが、アーティストたちは自分たちの表現に対してさまざまな反応が返ってきたことの喜びや満足感を語っていた。そして番組は「異なる意見や感情をどこまで尊重できるのか、アーティストが向き合おうとした問いは、私たちの社会に向けられているのかもしれない」と締めくくった。「表現の自由」があるからこそ議論が生まれ、お互いの違いを理解し合えるのだろう。それが民主主義の根幹である。(出田幸彦)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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