「即位パレード」 と 「桜を見る会」 の報道 批評する自覚の乏しさと“政権寄り”局が示した意地

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】83
文=水島宏明

テレビメディアの得意技を見せた 即位パレード中継

 1959(昭和34)年、上皇が皇太子時代の「ご成婚パレード」中継はテレビメディアの特長を見せつけたとされている。『お前はただの現在にすぎない』にTBS出身の今野勉らが書いたように、TBSテレビと日本テレビの中継勝負は有名な逸話である。

 ビルの上から俯瞰する映像で確実に撮影して、生中継が途切れる部分はVTRを挟んだ今野らのTBSに対し、牛山純一率いた日テレはカメラを地上に降ろして皇太子夫妻のアップ撮影にこだわり、生中継が途切れるところはパレード到着前の様子を見せて「まだお姿は見えません」と生々しく伝えた。視聴率は日テレが圧勝した。

 令和の時代の最初のパレード中継となった2019年11月10日の祝賀御列の儀。NHK、民放キー局すべてが報道特番で生放送した。皇居から赤坂御所までの4.6キロの道のりを生中継映像にスタジオトークを交えて解説する作りの局が多かったが、日テレは「元祖」の意識があるのか「完全生中継」という字幕を掲げてカメラ50台、アナ12人がそれぞれの地点でリレー中継。情景描写に徹して伝えた。

 各局の特番の視聴率はNHKが圧勝したが、パレードの時間は日テレが数字をはね上げ、「テレビ」というメディアの存在意義を示した。両陛下の「ご学友」を集め、内容がさほどあるとは思えないお祝いコメントばかりのNHKなどの中継に、視聴者が飽き飽きしている様子も見えてきた。

 即位パレードの前後には新天皇の即位を祝う国民祝典や大嘗祭も行われた。全般的に一連の儀式を解説して絶賛するばかりで、象徴天皇制の文脈で儀式を歴史的に解説する報道はほぼ見当たらなかった。かつて平成の即位パレードの際に爆弾テロや爆竹、迫撃弾などが撃ち込まれた出来事を当時の映像を使って報じたのはテレビ朝日の「サンデーステーション」(11月10日)ぐらい。また宗教的な意味合いが払拭されず、憲法が求める「政教分離」の観点から公費の負担について異論が残る大嘗祭については、大嘗宮の儀が行われた11月14日のTBS「NEWS 23」で秋篠宮が公費支出に異を唱えられていたことに触れた程度。同日のテレ朝「報道ステーション」も儀式を“秘儀”として謎めいた宗教色を強調して伝えだが、批判的な視点は一切なかった。5月1日直後の新天皇「即位」の際にも見られた、批判的な視点がない「ことほぎ」一色の報道が再現された。

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