令和最初の年末報道特番 断片的映像偏重の流れのなかで……検証する取材力をどう守るのか

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】84
文=古川柳子

 報道番組には日々の出来事を伝えるという役割のほかに、もう一つ大事な役目があると思う。流れていく情報をある時点でせき止め、振り返り、自らの報道姿勢も含めて検証し、出来事を歴史のなかに位置付けていく役割だ。最近、クリスマスの頃にはもう「よいお年を」とさらりと終わるニュース番組が増えてきたが、一年をどう総括するかは、次の年への積み残しを確認するうえでも大事なことだろう。令和最初の年末、主な報道特番を振り返ってみた。

フラッシュ×ランキング……定番スタイルから欠落する視点

 ニュース映像をランキング形式で振り返り、関連するインタビューやエピソードを挟みながら、コメンテーターたちが感想を言い合うスタイルは近年の年末特番の定番の一つだ。TBSテレビ「新・情報7daysニュースキャスター 平成→令和のニュースワードランキングSP!!」(12月28日)や、日本テレビ「キャスター&記者1000人が選んだ令和ニッポンの瞬間映像20」(12月29日)はまさにその形式で展開した。ランキング形式は自分の記憶を動員して推理する心理も働くためかそれなりに面白く見てしまう。だが、このスタイルには決定的な欠点がある。映像にならないものは取り上げようがないのだ。これは元々テレビ報道が陥りがちな欠点ではあるが、それがランキングの上位にくることで重要なニュースと目される。視聴者投稿映像が「瞬間的映像」として使われることが日常的になってきているなか、刺激的で記憶に残りやすい断片映像偏重の動きはさらに加速し、映りにくいもの、隠されるものを、これまで以上に報道されにくくなっていることを感じる。

 「キャスター&記者1000人が選んだ瞬間映像20」のベスト3は3位ゴーン逮捕、2位令和の発表、1位はラグビー日本代表W杯ベスト8だった。だが、2019年の年末は、国内を見るだけでも「桜を見る会」問題の噴出で「名簿はシュレッダーにかけた」「反社会勢力は定義できない」などと耳を疑う答弁が繰り返され、国会が終わった直後、自衛隊海外派兵が発表され、台風被害の傷跡が各地に残る年越しだった。その状況のなかで、本来、映像の意味やその裏側の問題をあぶり出すことが仕事だったはずの記者やキャスターが、視覚刺激的な瞬間映像を投票しているだけでよかったのか? 番組タイトル自体にも報道番組の変質を見るような気がした。

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