西欧で4Kテレビがバカ売れ 高画質配信サービスの行く末

文=ジャーナリスト
稲木せつ子

ネット主導の4K人気

 日本では昨年、民放キー局系BSの4Kチャンネルが揃い高画質放送元年となったが、ドイツでは地デジ放送がようやく全地域でSD放送からHDに切り替わったばかりだ。実のところ、EU圏内はイギリスを含め、まだSD放送を続けている国が少なくない。ところが家電ショップに行くとずらりと並んでいるのは4Kテレビ。昨年の市場調査(*1)では、2018年までに西欧で販売された受像機の63%が4Kテレビだった。これは4K・8K放送をしている日本を凌ぐ勢いだが、彼らは4Kテレビで何を視聴しているのか?

 放送局による4K放送は、ほとんどがスポーツ中継だ。欧州で最初の4K放送を行ったのは、イギリス有料チャンネルのBTスポーツ。3年前から4Kスポーツチャンネルを立ち上げ、プレミアリーグの試合などを放送している。

 どの国も熱心なのはペイテレビで、公共放送や民放が既存の放送インフラを4Kにアップグレードする動きはまだない。ドイツでは、民放RTLが有料衛星やIPTVで4Kチャンネルを始めたが、その実態はF1レースとドラマシリーズ1作品のみが4Kで、残りはHDだ。追随したライバル民放グループの戦略も、複数チャンネルの人気番組を4Kで制作し、1チャンネルに束ねて有料衛星で提供するというものだ。18年のサッカーW杯でも、公共放送はSDとHDで生中継、有料衛星のスカイ(独)が同じ試合を4Kで放送している。

 有料テレビ以上に放送と4Kテレビとのギャップを埋めているのは、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスで、高額予算で作られたオリジナル4Kドラマやドキュメンタリーがお茶の間の4Kテレビで視聴されている。ユーチューブはそれ以前から4Kコンテンツをラインアップしており、欧州では「高画質コンテンツはストリーミングで見るもの」とのイメージが定着しつつある。

 4Kコンテンツで放送局との差別化や市場シェアの拡大を狙う配信会社に対抗し、欧州の放送局も昨年から4Kの配信サービスに力を入れはじめた。英BBCは、6月から正式に4K対応をしたiPlayer(番組視聴アプリ)上で自然ドキュメンタリーなどの4K番組を提供している。同様に、ドイツのZDFも人気ドラマを4Kで制作し、HDで放送した後に、自局のオンデマンドアプリで4K版を配信している。

 来る東京2020の中継では、欧州内の放送権を獲得したユーロスポーツ(ディスカバリー社傘下)が、HD放送と並行して、専用アプリで全試合を4Kでライブストリーミングする予定だ。

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