「新型コロナウイルス」 報道 感染拡大で問われるテレビの役割 伝えるべきことを報じているか?

報道番組に喝!【NEWS WATCHING】87
文=水島宏明

映像と情報で先行した 「羽鳥慎一モーニングショー」

 原稿を書いている4月7日の段階では、テレビ各社は新型コロナの感染拡大で医療崩壊の瀬戸際にあり、夕方に首相が緊急事態を宣言すると伝えている。

 未知のウイルスの感染リスクが私たちに忍び寄るなか、テレビが持つ豊富な情報が見直されている。

 新型コロナ報道はテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の独壇場だ。筆者はテレビ報道で大事な要素は@「実態をリアルに示す映像と音声」と、A状況を俯瞰的な視点や時間的な視点で理解するための「情報」=データの2つだと考える。同番組では行動自粛の要請が小池百合子・東京都知事から出ても出会い系イベントやライブなどで他人と「濃厚接触」する若者の実態を撮影して放送=@。東京都の感染者数が厚生労働省の想定以上のペースで右肩上がりに推移する曲線グラフをメディアのなかで先んじて日々継続報道している=A。日本よりも先に医療崩壊などが起きたイタリアやアメリカで、強制的な「非常事態」に相当する措置を導入したタイミングの早い遅いが感染者増にどのように影響したのかも、曲線グラフにして見せた。感染症の専門家の岡田晴恵・白鴎大学教授が連日出演し、「実際には10倍くらいサイレントキャリアがいる」などと警鐘を鳴らし続けた。2019年度に同時間帯の番組で視聴率首位になったのは視聴者に信頼された証だろう。

 「モーニングショー」以外にも新型コロナではVTRとボードやフリップを使ったスタジオ解説、さらに専門家などのゲストによる生出演でコメントという要素を持った長時間ワイド番組が力を発揮した。このジャンルで定評があるTBSテレビ「ひるおび!」も恵俊彰と八代英輝のレギュラー陣の進行が冴えを見せた。日本ではいっこうに増えないPCR検査の実施を、韓国は大がかりに行って死者数の抑え込みに結びつけていることを伝えた。医療崩壊を懸念した政府の専門家会議が東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の5県を名指しで「医療供給体制が切迫している」と指摘したことに大村秀章愛知県知事が「県の医療体制は万全」「迷惑千万だ」と感情的に反発したことも批判的に取り上げた。「新型コロナを軽く見てはいけない」と各自治体の対応の差にも目を向けた細やかな報道を行った。

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