新型コロナウイルス 韓国の対応措置は?

文=ジャーナリスト
安 暎姫

迅速に動く韓国政府

 1月20日、韓国で初めての新型コロナウイルス感染者が発見されてから、韓国は迅速に動き始めた。1月23日、韓国外交部は、中国・武漢市に旅行警報2段階である「旅行自制」、武漢を除く湖北省全域に5段階である「旅行留意」を発令。同日、疾病管理本部は在中韓国民保護活動と現地状況把握のため、疫学調査官を中国の現地公館に派遣。行政安全部は全国民に携帯電話を通じて感染症予防関連の安全案内メッセージを発した。

 その内容は事細かで、自分の所在地近くで感染者が現れたとか、感染後どの経路で人と接触したのかなどを知らせてくれる。毎日、時間に関係なく警報が鳴るので、当初はびくびくしたが今ではすっかり慣れてしまった。

 1月24日、韓国内で2人目の感染者が確認されると、25日、外交部では武漢をはじめ湖北省全域への旅行警報を撤収勧告に引き上げた。

 ここまでは、感染者は出ても微々たるもので、死亡者もいなかったため、韓国人も政府も気を抜いていた。しかし急転直下、2月に入ると大量の感染者が発見されるのである。

 2月19日、大邱・慶北地域に多数の感染者が確認された。そのほとんどが「新天地大邱教会」の礼拝堂で発生したことが判明。新天地教団への非難が集中し、社会的イシューとなった。

 このことは宗教界全体に影響を及ぼした。韓国では、キリスト教、仏教などほとんどの宗教で日曜礼拝のために信者は教会や寺院を訪れる。韓国カトリックは、史上初めてミサを全面中断した。仏教界も法会を中断、キリスト教はケーブルテレビなどで礼拝を放送した。

 新天地教団は現在、大邱の小商工人250余名から損害賠償訴訟を提起されている。それだけではない。コロナウイルス拡散懸念で閉鎖された施設に同教団のイ・マニ総会長が出入りしたということで、警察から「感染症予防法違反」で告発された。同教団がキリスト教の異端であることや、信者たちが各地に散らばったせいで韓国各地にウイルスを拡散させてしまったこともあり、非難が集中している。

 2月半ばから急激に感染者が増えたせいで、3月2日からの新学期を3月9日に遅らせ(その後4月16日に変更)、塾なども休業に追い込まれた。危機段階も「警戒」から「深刻」に引き上げられた。大企業では在宅勤務を勧告。大学をはじめ小中高では入学式を省略、オンラインでの授業を開始した。

 韓国はネット環境が整っているため、授業や会社の事務関係は難なくこなせる。住民登録証は一人ひとりに番号が割りふられ、さらに指紋も確認できるため、徹底した管理ができる。また携帯電話の普及率も高く、政府の指示や疾病関連情報を事細かに受信することが可能だ。

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