淡々と戦うスペシャリストたち〜情熱大陸「河岡義裕 ウイルス学者」「坂本史衣 感染管理専門家」

ギャラクシー賞月間賞:情熱大陸
「河岡義裕 ウイルス学者」
「坂本史衣 感染管理専門家」

4月12日、4月19日放送
23:00〜23:27
毎日放送 いまじん オルタス・ジャパン メディア・メトル

 人類は100年ごとにペスト、コレラ、スペイン風邪、新型コロナと試練を受け、多くの犠牲を払いながらも学者や医療従事者はそれを学習し、われわれを生き残らせた。このことに改めて感謝しなければならないと感じた「情熱大陸」を月間賞に推した。NHKスペシャルなども追ったクラスター対策班の東北大学の押谷仁教授や北海道大学の西浦博教授にも感謝するが、37.5℃以上にならない熱量で「淡々」と紹介された別の2人のスペシャリストたちの姿も感動的だ。

 インタビュアーの「疲れないですか?」の問いに、「僕は何でも淡々とできるから」と答える一人目の河岡義裕はインフルエンザウイルスやエボラウイルスの人工合成に成功したウイルス学の世界的な権威だ。ただ、「日本は大丈夫という幻想は大間違いで、ウイルスは人を選ばない」の言葉は厳しく、「スペイン風邪以来医学が100年がんばっても、感染防止は『近づかないこと』というのが情けない」と怒りを露わにする。冷静さのなかにある執念を感じさせ、やるべきことを淡々とやってのける学者の姿を描いた。

 二人目の坂本史衣は聖路加看護大学卒業後、アメリカの大学院で学び、国際的な感染予防・管理の認定資格を取得したエキスパートで、「このウイルスって、気づかれないままひっそりと病院のなかに入り込むのが上手」と、事もなげに説明する。「死ぬ人を出さないために淡々とやるのが自分の仕事」ともいうが、見えない敵と闘う聖路加国際病院内各セクションの医療従事者が、患者には出せない不安を彼女には見せて、心から頼りにしていることが伝わってくる。

 「希望はありますか?」の問いに、「行動自粛すれば必ずおさまる」「前に進めば終わりに近づく」と2人が答えて番組は終わる。しかし、リウーやタルーの保健隊も淡々としてしかし力強かったカミュの『ペスト』が改めて注目されている本当の理由は、ペストも暗喩だったナチズムも新型コロナも、実は地球上からなくなっていないことだ。河岡教授の「年単位の長期戦になることは確か」を肝に銘じよう。(福島俊彦)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

1

関連記事(外部サイト)