セクハラ逃れ!? ソウル市長の自殺

文=ジャーナリスト
安 暎姫

ソウル市長に何が !?

 7月9日午後、「ソウル市長失踪」という韓国を震撼させるニュースが流れた。朴元淳ソウル市長といえば、市民団体の活動家兼弁護士出身で、2011年のソウル市長選で当選してから、これまで3度の選挙を勝ち抜いてきた。

 警察の発表によると、朴市長は当日健康上の理由で出勤せず、当日のスケジュールがすべてキャンセルになっていた。しかし、家族の通報では遺書のような書き置きを残して家を出たきりだという。防犯カメラには黒っぽいジャンパーを羽織り、帽子を深めに被りデイパッグを背負った市長の姿が映っていた。警察は、機動隊やドローン、警察犬などを総動員して朴市長の所在を把握しようと努力した。捜索は夜中まで続き、自殺した市長の遺体を発見したのは翌日の午前0時を少し過ぎた頃であった。

 いったい市長に何が起きたのか。失踪のニュースの後、元ソウル市職員が市長をセクハラ容疑で告訴し、取り調べを受けていたと報道した。しかし、朴市長が遺体で発見されたことで、この告訴事件は「控訴権なし」で処理された。つまり、被告が死んだので裁判にならないということだ。

 最近韓国では、公職者のセクハラ事件が立て続けに起きている。今年4月には現職の釜山市長がセクハラを認め辞職したばかりで、2018年には忠南道の知事がセクハラで訴えられ、現在服役中である。このうち、知事と朴市長は与党側の次期大統領候補でもあった。

 特に、朴市長は「セクハラは不法」とし、有名なセクハラ訴訟で弁護人を務めるなど、市長になる前から女性の味方として名を馳せた人権派弁護士であった。これまでのイメージは清貧かつフェミニストである。

 韓国の政治家が自分の不正事件を自殺で終結させたのは、彼が初めてではない。文在寅大統領や朴市長と心の友であった廬武鉉元大統領、また朴市長の後輩であり彼を市長に押し上げた立役者である廬会燦元国会議員がいる。

 両者は、清貧な政治家として尊敬されていたが、不正贈賄事件と関連したことが報道される前に自殺し、事件は有耶無耶になった。それどころか、贈賄などには触れず彼らが偉大な政治家であったことだけが強調され、英雄視されるようになった。両者と仲が良く、同じ思想を持っていた朴市長が自死を選んだとき、人々の頭には先に亡くなった両者がよぎった。

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