テレビに風穴を開ける「内なる他者」〜フワちゃん「徹子の部屋」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウンSP」(TBSテレビ)の出演

ギャラクシー賞月間賞:フワちゃん
「徹子の部屋」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウンSP」(TBSテレビ)の出演

「レペゼンYoutubeのNEO芸人」フワちゃん。

超ハイテンションから繰り出されるトークと鬼ガラミYouTubeで話題沸騰。

大御所にも物怖じしない破茶滅茶な芸風で、最近はTVでも大活躍中。

 今や、テレビで見ない日はないほどのフワちゃん。特に今月のふたつの番組での彼女を高く評価したい。

 ひとつは、7月22日放送の「水曜日のダウンタウンSP」(TBSテレビ)の「ネットニュースに載るまで帰れません」という企画。そこに出演したフワちゃんは、東京都庁をバックにジャンプした自撮りをSNSにアップして、見事ネットニュースになった。当日は東京都知事選の投票日。その写真には「国民の義務、ブチかましまくり イケてるギャルは、一旦全員選挙に行ってピース!!」と添えられていた。

 このとき、「『水曜日のダウンタウン』が必要なこういう部分を私が補ってあげてる」と言ったフワちゃんがとても印象的だった。必要であれば、バラエティでも政治を扱って構わない。まずユーチューバーとしてブレークした芸人・フワちゃんが、実はそんな風にテレビをクールに客観視していることがよくわかる。

 このようにフワちゃんは、成熟してはいるもののそれゆえ内輪ウケに終始してしまいがちな現在のテレビに風穴を開けてくれる貴重な存在だ。いわばテレビにとっての「内なる他者」であり、その点これまでいた数多くの旬の人気者とはひと味もふた味も違っている。

 もうひとつは、7月10日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日)。ここでは、いつものように大御所にもぐいぐい迫るフワちゃんと、まったく譲らない黒柳徹子の丁々発止の“バトル”が大いに楽しめた。

 一方でフワちゃんは、黒柳徹子がずっと憧れだったという。小学生の頃『窓ぎわのトットちゃん』を読んで以来、あまり上手に生きることができなかったフワちゃんにとっての人生のバイブルになったからだ。

 そうした生きづらさの感覚は、いまの日本社会で少なからぬ人々が抱えているものだろう。そしてこの新型コロナ禍において、一層それは高まっている。そのなかで超がつくほどのポジティブさを貫くフワちゃんの登場は、まさに時代が要請したものに違いない。

 テレビと社会の今を映し出す鏡のようなフワちゃん。彼女から今後も目が離せない。(太田省一)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。

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