アメフト危険タックル問題で「スポーツ評論家」の姿をほとんど見ないワケ

アメフト危険タックル問題で「スポーツ評論家」の姿をほとんど見ないワケ

アメフト危険タックル問題で「スポーツ評論家」の姿をほとんど見ないワケ

 5月6日に発生した大学アメフトの「危険タックル」問題が、終息の気配を見せないようだ。この件については情報番組や報道番組でも連日のようにトップ級で扱われ、アメフトの知識がないコメンテーターもそれぞれの持論を展開するような騒然とした状況になっている。その中で、いわゆる「スポーツ評論家」が本問題については多くを語っていないというのだ。世間を揺るがす事件にもかかわらず、なぜ積極的に発言しないのか。アメフトに詳しいスポーツライターが指摘する。

「一つにはアメフトに精通していないことが大きな理由でしょう。ルールはもちろん、どのようにゲームが進行されるのか、反則がどう評価されるのか、過去の事例はどうなのかを知らなければ、今回の危険タックルについて的確な意見を示すのは難しい。たとえば玉木正之氏は『米大リーグでは裁判で無罪になった選手でも永久追放を決めた例がある』とコメントしていますが、アメフトの事例を出さない時点で発言の重みに欠ける印象を受けました」

 アメリカでは、NFLセインツのコーチが相手チーム選手を負傷させた場合にボーナスを支払った「バウンティ(報奨金)スキャンダル」について触れたメディアも少なくない。そして大学アメフトでは03年に発生した「首絞め事件」が前例となるはず。これはオハイオ州立大学の守備選手が試合中、ウィスコンシン大学QBの首を絞め、気管を痛める負傷を負わせたもの。この時は守備選手に1試合の出場停止処分が科せられたほか、謝罪文も公表している

「そしてもう一つは、今回の一件にはアメフトという競技の特性だけではなく、それを取りまく環境や文化も大きく影響しているということ。たとえば内田前監督が日大の常務理事であったり、日大アメフト部が数十年前から『封建主義』とヤユされる体質だったことを知らずして、的確な論評はできないのです。やくみつる氏は『日大の監督が反則タックルを指示したかどうかは、調査するまでもなく、本人に確認すれば簡単にわかること』と語っていましたが、この指摘が結果的に無意味だったことは誰の目にも明らかになっています」

 今回の一件で各番組では、アメフト経験のある解説者やメディア関係者を識者として起用。現役監督やコーチの出演が少ない中、日本代表を率いた経験もある森清之・東大ヘッドコーチは理路整然とした解説で、視聴者からも「よくわかる」と好評だった。やはり「餅は餅屋」に限るようだ。

(金田麻有)

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