体調万全でも厚かった4強の壁 錦織圭の4大大会制覇に足りないもの

【ウィンブルドン男子シングルス準々決勝】錦織圭、ロジャー・フェデラーに完敗

記事まとめ

  • ウィンブルドン男子シングルス準々決勝で、錦織圭はロジャー・フェデラーと対戦した
  • 錦織は第1セットを先取したが終わってみれば完敗、86年ぶりの4強入りにはならず
  • 最大の敗因は「ファーストサーブの確率が57%と低かったこと」とライターは分析

体調万全でも厚かった4強の壁 錦織圭の4大大会制覇に足りないもの

体調万全でも厚かった4強の壁 錦織圭の4大大会制覇に足りないもの

芝の王者に屈した錦織(C)ロイター

錦織圭(29=世界7位)が準々決勝までに費やした試合時間は、前回の全仏より292分も少ない511分。3回戦まですべてストレート勝ち。4回戦で1セットを落としただけと、今回はガソリンも満タン。ウィンブルドンを8回制したロジャー・フェデラー(37=同3位)に「勝てると思う」と話すなど、心身ともベストに近い状態だった。

 しかも、相手のミスにも乗じて第1セットを先取するなど最高の立ち上がり。「芝の王者」を下す条件はそろっていたにもかかわらず、終わってみれば完敗だった。

 この日のウィンブルドン男子シングルス準々決勝。錦織は第1セットこそ6―4で取ったが、その後、1―6、4―6、4―6と立て続けに3セットを奪われ、日本勢では1933年の佐藤次郎以来、86年ぶりの4強入りはならなかった。

 現地で取材するスポーツライターの武田薫氏はこう言う。

「錦織は立ち上がりに持ち味を発揮して期待を抱かせましたが、フェデラーはまるで探りを入れていたかのようでした。第2セットに入ると、第1セットとはまるで別人のように襲い掛かってきましたからね。錦織のサーブが良くないと判断すると、サービスゲームではエース狙いに徹し、リターンゲームでの攻撃に切り替えてきました」

 第1セットの第1ゲーム。錦織はフェデラーのセカンドサーブを攻略した。リターンを警戒してファーストサーブの確率が良くなかったフェデラーの出はなをたたき、いきなりブレークに成功。集中力を維持して、第1セットを先取した。

 しかし、集中力は続かなかった。錦織のサーブも良くないと見切ったフェデラーに、リターンゲームで攻められた。

 リターンからのポイント獲得率は錦織が25%だったのに対し、フェデラーは77%もあった。ここで流れを変えられた。

 錦織の最大の敗因はこの日のファーストサーブの確率が57%と低かったことだろう。ファーストサーブが入らなければリターンで攻め込まれてしまう。

 サービスゲームとリターンゲームの両方で集中力を維持し続けるのは極めて難しい。それが焦りを生み、大事な場面でのミスにつながった。

「堅実なプレーをしたが、ファーストサーブのミスが多かった」とダンテ・ボッチーニ・コーチが言えば、錦織本人は「2セット目以降はずっと、サービスゲームがつらかった。自分のプレーを継続することができず、後半はミスが多かった」と話した。

■GS連続5大会8強の実績は大きい

 4大大会で5大会連続8強入りは、錦織以外にナダル(33=同2位)とジョコビッチ(32=同1位)の2人だけ。それはそれで評価できるものの、この2人にフェデラーを加えた「3強」の壁は高くて分厚い。

 この日は3強がそろって準決勝に駒を進めた。3強が全英のベスト4に勝ち残ったのは2007年に続いて2度目だが、4大大会では前回の全仏に続いて今回が13度目になる。

「3強時代があまりにも長いため、それ以外の選手が大きなプレッシャーのもとで試合をし、それを克服する経験はまだ足りないように思う。ここまで順調に勝ち上がった錦織にも同じことが言えます。ただ、4大大会で連続5大会8強に入った実績は大きい。これを維持していけば、徐々に道は開けるのではないか」(前出の武田氏)

 圧倒的なパワーや爆発力をもつ選手がいきなりメジャーを制するのはごくまれで、フツーはそうじゃない。コツコツと実績を積み上げ、ライバルに認知されていくうちに4大大会のタイトルに手が届くというのだ。

 もちろん、その到達速度には個人差がある。錦織は「強いフェデラーとやれたのはいい経験になった」とも言ったが、12月で30歳になるベテランに残された時間は決して多いとは言えない。

 ちなみにジョコビッチが初めて4大大会を制したのは20歳(全豪)、フェデラーは21歳(全英)、ナダルは19歳(全仏)だった。

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