豪州代表ファンの必需品は「ビニールワラビー」と「マチルダ」

豪州代表ファンの必需品は「ビニールワラビー」と「マチルダ」

お馴染みの光景(C)共同通信社

【ラグビーW杯 四方山話】#9

 多くの代表チームは国旗の色をジャージー(ユニホーム)に使っているが、ナショナルカラーを別に持っている国は、そちらを使う場合がある。

 たとえばイタリア国旗は「緑・白・赤」の三色旗だが、選手たちが着ているのは「空色(アズーリ)」だ。オーストラリア代表も、国旗とは似ても似つかない「黄色と緑」を身に着けている。正確には「グリーンとゴールド」。1984年に正式に法律で定められたナショナルカラーで国花「ゴールデンワトル(ミモザ)」の花と葉をイメージしているとか。オーストラリア大陸には世界中のゴールデンワトルの実に50%が生えている。開花シーズンには、国中が真っ黄色になる。

 オーストラリア代表ファンがよく客席で肩車しているのが、ビニール素材の「ワラビー」。子供用の浮輪である。本物のワラビーは、カンガルー科の小型動物で、見た目はカンガルーと変わらない。顔はほんの少しだけ優しい。代表チームの愛称は、そのまま「ワラビーズ」である。

 大陸では捕食獣が減ってしまったため、カンガルー科の頭数が爆発的に増えてしまった。今では人間の倍以上生息している。そんなわけで、ジャーキーになっていたりもするのでお試しあれ。

■スワッグマン

 陽気で真っ黄色でワラビーを担いでいる代表ファンが、ここぞという場面で歌うのが「ワルツィング・マチルダ」という歌だ。歌詞の内容は次のような感じである。

 【陽気なスワッグマンが池のほとりで野宿をした。そこへ羊がやってきて、男は羊を捕まえて袋に詰め込んだ。牧場主と警官が男を問い詰めた。男は捕まってたまるか!と池に飛び込んで逃げた】

 スワッグマンとは、流れ者のカウボーイのこと。彼らはいつも大きなズダ袋を持ち歩いていた。

 この袋こそがスワッグ(swag)である。スワッグはかばんであるとともに寝る時は枕やクッションになったり、簡易ベッドの代わりにもなった。そのスワッグを男たちは「マチルダ」と呼び習わしていたのである。

 星空の下、酒の一杯でも入ると、時に男たちは自分のスワッグ相手にダンスをしたのだという。なかなかいい風景ではないか。仲間の冷やかし声と笑い声が聞こえてくるようだ。  =つづく

(いとうやまね/コラムニスト)

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