“テコンドーのドン”金原体制崩壊…再選画策もスポンサー撤退相次ぎ致命傷

“テコンドーのドン”金原体制崩壊…再選画策もスポンサー撤退相次ぎ致命傷

金原会長再選画策も"致命傷"

“テコンドーのドン”金原体制崩壊…再選画策もスポンサー撤退相次ぎ致命傷

理事会後に取材に応じた金原会長(C)共同通信社

「なんか企んではるんかなと思った」

 テコンドー協会の岡本依子副会長(48)がそう思うのも無理はない。

 強化指定選手との対立が続く全日本テコンドー協会は28日、臨時理事会で金原昇会長(65)ら全理事の総辞職を決議。今後、外部有識者で構成された検証委員会が約1カ月間にわたって選手や協会幹部へのヒアリングを行い、運営体制の検証と新理事の選出をする。

 外部有識者のメンバーは境田正樹弁護士、井口加奈子弁護士、日本オリンピック委員会(JOC)常務理事の友添秀則氏、JOC理事の山口香氏の4人。この日の理事会後、金原会長は有識者らによる聞き取りに応じた。

「未来のテコンドー協会にとって、いい判断をした」

 決議された総辞職をこう評した金原会長は今月8日の定例理事会で、「今辞めるのは無責任」「(総辞職は)審議事項にない」と突っぱねていた。その会長が自ら総辞職を提案したとあって、金原体制からの脱却を訴えてきた岡本副会長は疑心暗鬼。「今回、全然(会長の)様子が違う。おとなしいというか、しおらしいというか。なんか企んではるんかなと思った」と眉をひそめた。

 金原会長には返り咲きの“前科”がある。2016年、成績不振を理由に退任するも翌17年、わずか1年で会長に再任。今回も調査委員会を含め、周囲を丸め込めるという自信があるのだろうか。

■反対派の動きに先手

 事情に詳しいテコンドー関係者はこう言う。

「反金原派の人たちが会長を辞めさせるため、決議に必要な3分の2のメンバーを集めたそうです。しかし、それを察知した金原会長が先手を打って外部有識者による検証委員会を立ち上げた。そこで世論をうまく誘導して、再選に導くという展開を描いているようです。金原体制で協会の要職を務めた安藤元専務理事(辞任)も弁護士で、検証委員会の委員長を務める境田弁護士とは知人関係です」

 今月中旬に金原会長からの依頼を受けた境田弁護士は「我々は中立、公正な立場。(金原)会長の再選ありきではない」と強調したものの、反金原派にとってはどこまで公平性を保てるか疑問が残るかもしれない。

 しかし、復活を遂げた前回とは事情が違う。12日にテコンドー協会のスポンサーだったダイテックスが契約解除を発表。すると、23日にはメインスポンサー5社のうち、ソケッツ、シナジージャパンの2社も契約解除を決めたのである。ソケッツは「会社への選手の所属は続ける予定」と言うが、日刊ゲンダイの取材に「現状がアスリートファーストという状況にはなっていない」とした。

 残る3社のうち、一般財団法人国際クラブは「テコンドー協会とは東京五輪が開催される2020年までの5年契約を結んでおり、それまでは契約を続ける予定です。騒動の影響はないとは思いますが、東京五輪が終わってからのことは未定です」と説明したが、スポンサーの相次ぐ撤退は、協会存続の危機に直結する。

■水泳の8億円超に対し6000万円弱

 テコンドーは五輪で常にメダルが狙える競技ではないため、強化費や収支の規模はメダル常連競技に比べてはるかに脆弱だ。各競技団体の協会や連盟が開示している収支決算報告書に記載された現金預金で比較すると、その差は一目瞭然。例えば、水泳が約8億5658万円、バレーボールが約4億8390万円なのに対し、テコンドーは約5979万円(すべて平成30年度)。吹けば飛ぶような小規模な組織にとっては1社の契約解除が致命的なダメージになる。

 つい3週間前まで会長のイスにしがみついていたドンも、身を引く状況に追い込まれた。

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