箱根駅伝実現の秘策 東京外しと多摩川スタートで“密”解消【スポーツ時々放談】

箱根駅伝実現の秘策 東京外しと多摩川スタートで“密”解消【スポーツ時々放談】

大手町をスタートした2020年の箱根駅伝はご覧の通りの“密”/(C)共同通信社

武田薫【スポーツ時々放談】

 コロナの影響はまだ続きそうだ。10月11日に開催予定だった大学駅伝の第1弾、出雲全日本大学駅伝の中止が正式に決定。全日本大学駅伝(11月1日)、メインの箱根駅伝(来年1月2、3日)への影響は必至だ。

 駅伝はスタートの1区さえうまく処理すれば後はバラけ、密集の心配はない。問題は沿道の観衆。ロードレースは舞台が公道だから無観客はあり得ず、出雲や全日本の伊勢路の沿道はともかく、箱根は約100万人が集まる超過密イベント。クラスター発生ならば五輪開催にも影響するから、後援する新聞、テレビ、スポンサーも慎重にならざるを得ない。

 予選会(10月17日)は、自衛隊立川駐屯地の周回コース(1周3・3キロ)の無観客で行うが、東京・大手町から箱根・芦ノ湖の片道110キロをカラにはできない。ましてCOVID―19は秋から冬が要注意と専門家が指摘するだけに常識的には中止だろう。

 今度が第97回という伝統のレースを実現する道はないか―――秘策は一つ、東京外しだ。

 箱根駅伝は東京と神奈川をまたいで展開する。道路使用は管轄警察の管理で、警視庁と神奈川県警では管理が複雑で責任の所在も不明確。これを一本化するしかない。

 東京を走るのは往路1区とアンカー10区の一部で、残る8区間は神奈川を走る。神奈川県もこの駅伝には愛着を抱き、恩恵も受けた。ならば、県境の多摩川の六郷橋の向こうをスタート・ゴールにし、河川敷で“密”を解消。どうしても「東京―箱根間往復」にこだわるなら、スタートだけ橋の手前にすればいい。

■ロードレースからのペナルティー

 感染者の多い東京は政府の「Go To キャンペーン」から排除され、小池知事も首都への出入りは遠慮してくれと言っている。さらに、東京都がロードレースに大きな汚点を残したことも忘れてはいけない。

 小池知事は今年3月、政府の自粛要請を無視して東京マラソンを強行した。市民マラソンは中止してエリートマラソンだけ実施したことで〈東京は一つ〉という化けの皮は剥がれ、マラソンを従来の〈選民レース〉に戻した。参加料を返さない先例は全国的にマラソン離れを招き、さらに沿道に不特定7万人が集まったことに頬かむりし感染意識を曖昧にしている。“東京外し”はロードレースからのペナルティーでもある。

 1920(大正9)年に始まった箱根駅伝には、非常時にコース変更した先例がある。東海道は陸軍の大動脈だったため、大戦中の1941年から46年まで中止に追い込まれた。その間、東京―青梅間で2度行われ、靖国神社と箱根神社を結んだ43年の「関東学徒鍛錬継走」だけは大会回数に数えられている。

 主催の関東学連は伝統をどうつなぐのだろうか。臨機応変と決断こそロードレースのカギである。

(武田薫/スポーツライター)

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