今場所新入幕の翠富士一成は「肩透かし」の申し子…技との相性が抜群【大相撲 人気力士丸わかり名鑑】

今場所新入幕の翠富士一成は「肩透かし」の申し子…技との相性が抜群【大相撲 人気力士丸わかり名鑑】

「肩透かし」を得意技とする翠富士(C)日刊ゲンダイ

【大相撲 人気力士丸わかり名鑑】

 翠富士一成(24歳・伊勢ケ浜部屋・前頭14枚目)

  ◇  ◇  ◇

 多彩な技を持つ力士でも、四つ相撲なら「寄り切り」、押し相撲なら「押し出し」が決まり手の多くを占める。しかし、翠富士は「肩透かし」を得意技にしている、珍しい力士だ。

 前に出てくる相手の肩を押して、前に転ばせるのが肩透かしという技。懐に入り、浅く差した手で半身になりながら引きつけることで、相手を前に出させる。その瞬間、反対側の肩を押すことでバランスを崩すという、相手の力を利用した高度な技だ。同じ伊勢ケ浜一門の親方が言う。

「師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も肩透かしが得意だったが、弟子ほど多かったわけではない。翠富士はそれこそ、勝った相撲の4回に1回はこの決まり手といっても過言ではない。なぜ、そんなことになるのか、技との相性がいいとしか言えませんよ。翠富士は小兵でも、立ち合いでは真正面から当たる正攻法の押し相撲。出し投げを狙ったり、横から崩しにかかることもあるものの、まずはきちんと当たることを心掛けている。そうした相撲は、付け人をしていた兄弟子の照強譲りですね」

 静岡県の飛龍高校卒業後は近大相撲部に所属したが、2年で退学。いったんは故郷に帰るも、伊勢ケ浜親方の説得でプロの世界に飛び込んだ。

「翠富士は母子家庭。昔はあまり良くない意味で“ヤンチャ”だったそうで、本人も『母親には迷惑をかけたから、親孝行をしたい』と常々話している。ちなみに伊勢ケ浜さんも近大を中退。故郷青森に戻ってから角界入りと、経歴が似ている。そんな親方だからこそ、翠富士の気持ちもよく理解できたのではないか。実際、中退後も相撲への情熱を失っていませんでしたからね」(タニマチ筋)

 翠富士が伊勢ケ浜部屋に入門した2016年当時は、まだ暴行事件を起こす前だった元横綱日馬富士や、照ノ富士、安美錦(現親方)、宝富士ら多士済々。幕下ではやや足踏みをしたとはいえ、十両を4場所で通過し、今場所新入幕を果たした。

 上位力士の肩をバンバン透かし、土俵に波乱を巻き起こせるか。

▽翠富士一成(みどりふじ・かずなり)
●本名は庵原一成
●1996年8月、静岡県焼津市出身
●171センチ、114キロ
●最高位は現在
●四股名の由来は磨けば 磨くほど光る翡翠から

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