広島 菊池、田中、石原FA流出を睨む金本監督、新井ヘッド構想

現在、セ・リーグ3連覇中の「強い広島」だが、次世代の基盤作りに、あの「義兄弟」まで駆り出されることになりそうだ。

 今季、広島カープの開幕戦は早くも因縁の激突といえそう。丸佳浩(29)を獲得した原巨人と長野久義(34)の強奪に成功した緒方カープが開幕戦でぶつかるわけだが、そこに“勝敗以外の見どころ”も加わった。

 「広島が目指すのは、リーグ優勝ではなく、日本一です。でも、『強い広島』が持続できるのは今年が最後かも」(ベテラン記者)

 FAで主砲の丸を喪失した広島。その人的補償に、若手ではなく、今季35歳になる長野を選んだのは、「育成の時間がない」と判断したからだ。

 丸が新天地を求めると、それに追随するように守備の名手・菊池涼介(28)がポスティングシステムによる米球界挑戦の意向を公言した。球団は公式な回答をしていないが、順調に行けば今季中に国内FA権、来季に海外FA権を取得する。
「さらに捕手の會澤翼、投手で野村祐輔、今村猛も今季中の国内FA権取得となります。田中広輔は来年。ここに動向が読めなくなってきたのがベテラン捕手の石原慶幸です」(同)

 會澤は、他球団からも評価が高い。昨季は106試合に出場し、打率3割5厘、13本塁打の好成績を残した。

 巨人・阿部慎之助が年齢的に衰え、12球団で「打てる捕手」は稀少だ。その点、會澤は高打率を残せる上、パンチ力もある。どの球団も會澤がFA権を行使するならば、獲得に名乗りを挙げてくるだろう。

 「海外FA権を行使できるまで菊池を待たせるとなると、広島球団には何も残りません。現状ルールではポスティングシステムで移籍させたほうが金銭補償も大きい」(球界関係者)

 菊池、會澤、そして田中…。リーグ3連覇をもたらしたレギュラーを喪失する危険性が高まってきた。

 「ベテラン=即戦力」と考えれば、広島が長野を一本釣りした裏には、日本一を狙えるのは、'19年シーズンが最後と見たからだろう。

 「'17年ドラフト1位の中村奨成が一人前に育ったら、石原慶幸が肩たたきに遭いそう。今季40歳になる石原はこれまでFA権を行使せず、球団に残ってきました。チーム愛を貫くか、完全燃焼の場を求めて他球団に行くかが読めません」(前出・ベテラン記者)

 精神的支柱までいなくなってしまえば、チームは根底から崩れてしまう。

 「緒方孝市監督(50)も頭が痛いところ。菊池、田中、會澤まで出ていったら、たとえ35年ぶりの日本一を達成しても、残るものは何もありません。緒方監督の処遇も考えなければならなくなるでしょう」(同)

 緒方監督は25年ぶりのリーグ優勝を果たした功労者である。つまり、「勝つための指揮官」だ。

 広島は以前から育成のチームと称されてきた。その広島でさえ、自前戦力で優勝するまで、チームを立て直すのには長い年月を要した。

 仮に菊池、會沢、田中らが丸に追随したら、2、3年は育成重視のペナントレースを送ることになるだろう。そのとき、球団は優勝監督・緒方に屈辱の日々を課すのか…。やはりOBの登場となる。

 「昨年、引退した新井貴浩氏(42)のコーチ帰還は、そう遠くないと思われています。努力で這い上がった現役生活について、当時を知らない広島の若手たちにも伝え聞かされているほどですから」(地元関係者)

 新井氏だけではないという。同じく、FAで阪神に移った経緯を持つ金本知憲氏(50)をどう評価するか、広島では真っ二つに意見が分かれているのだ。

 「お呼びでない」とする向きと、ナンヤカンヤ言われながらも、阪神の若手を育てたことを評価する向きがある。後者に関して、さらにこんな声も聞かれた。

 「金本氏が阪神で見せた育成は厳しいものでした。それで失敗したとはいえ、あの練習量と厳しさは広島では当たり前のこと」(同)

 阪神では失敗したものの、金本氏の姿勢、野球観までは否定されていないのだ。

 「広島では当たり前」の厳しさならば、次世代のタナキクマル・トリオの育成に一役買ってもらうという流れも出てきそうだ。

 「敵チームとはいえ、一度はチームの指揮を託された人なので、それなりのポジションを用意しなければなりません。ただ、一部に反発する広島ファンも予想されますが…」(同)

 金本氏は自身の殿堂入りを祝うパーティーの後、表舞台から遠のいている。

 「海外旅行、ゴルフなどでリフレッシュするつもり」と阪神内部からはそんな声も聞かれたが、「大阪に居場所はない」と本人は思っているようだ。

 「地上波でのプロ野球中継が組まれた際、金本氏をゲストに呼びたいと考えている関西のテレビ局もあるようですが」(TV局スポーツ部員)

 新井氏は解説者1年生として精力的な活動を見せている。金本氏とは対照的だ。

 優勝監督に育成重視のペナントレースで恥をかかせられないとすれば、別の指揮官を迎えるか、二軍の育成体勢をさらに強化させるかしなければならない。そこに人望の厚い新井氏を呼ぶとすれば、ファンも納得するだろう。

 しかし、育成には「嫌われ役」を厭わないお目付役が必要。阪神でそれを請け負ってきたのはアニキ金本である。

 4連覇、日本一を狙う広島がその後をどう立て直すのか。長い暗黒時代に逆戻りしないためにも、金本、新井両氏の義兄弟コンビの協力は必要だ。

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