達成感でいっぱい パラ五輪・自転車、石井選手 競技生活10年、今後は指導者へ

達成感でいっぱい パラ五輪・自転車、石井選手 競技生活10年、今後は指導者へ

競技生活10年を振り返り「達成感でいっぱい」と笑顔を浮かべる石井選手=藤沢市役所

 高次脳機能障害を乗り越え、ペダルを踏んで10年。パラリンピック自転車競技の金メダリスト石井雅史選手(藤沢市)が、現役を引退する。集大成として臨んだリオデジャネイロ大会では、メダルには届かなかったものの3種目で入賞。4日、藤沢市役所を訪れた43歳は「達成感でいっぱい」と語った。

 北京、ロンドンに続き出場した今大会、厳しさと喜びを味わった。

 最終種目だった男子個人ロードレース。自身にとって現役最後のレースだったが、疲労による複視の症状が発症。監督が「危険」と判断し、途中棄権を決めた。

 同種目では、山間部を走っていたイランの選手が下り坂でカーブを曲がりきれず、壁に衝突。帰らぬ人となった。「スタート前に『お互い頑張ろう』と握手していた。勝負の世界は、時に危険が伴う」

 もとは平塚競輪所属の競輪選手。2001年7月、ロードワーク中の事故で脳に障害を負い、06年にパラ競技へ転向した。

 08年の北京パラリンピックでは金、銀、銅三つのメダルを獲得したが、翌年の世界選手権で全身12カ所を骨折する大けがを負った。競技の厳しさは、何度も味わった。それでも、ペダルを踏むと「生きていると実感できた」と笑う。

 今大会、うれしい“再会”があった。全レース終了後、チェコ代表の選手が部屋を訪ねてきた。自らがパラ競技に転向するきっかけをつくってくれた元世界チャンピオンだった。

 「彼を目指し、彼とコンマ数秒を争った。握手を交わした時、真のライバルが友人になった」

 今後は、次世代の育成に励む。「サイクリング場を回って、脳性まひの選手に会いに行きたい」