宮澤ミシェルが考えるサッカー日本五輪代表が死の組を勝ち抜くためのOA枠は?「個人的には、伊東純也を入れてもらいたい」

東京五輪日本代表について語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第199回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、東京五輪日本代表について。4月21日に行なわれた組み合わせ抽選会の結果、南アフリカ、メキシコ、フランスと強豪揃いのグループAを戦うこととなった五輪日本代表。今回、そんな過酷な1次リーグを勝ち抜くために必要なオーバーエイジ(OA)枠について宮澤ミシェルが語った。

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開催国なんだから、「もう少し気を利かせてくれてもいいのにな!」っていうのが率直なところだよ。

東京五輪のグループリーグの組分けが決まって、日本は南アフリカ、メキシコ、フランスと戦うことになった。ひと筋縄ではいかない相手ばかりだから、厳しい夏になりそうだね。

毎回オリンピックのサッカーは開会式の前から始まるけど、今回も女子サッカーが7月21日からスタートして、男子サッカーのグループリーグは7月22日に南アフリカ戦、7月25日にメキシコ戦、7月28日にフランス戦が行なわれる。

東京五輪の開会式は7月23日。男女とも初戦に勝てば開会式に華を添えられるけど、もし負けていたら......いや、今はただ勝つことだけを考えよう!

決勝トーナメントに進出できるのは各組上位2ヶ国。W杯も同じだけど、初戦で勝ち点を落とすと苦しい戦いになるのは明白だから、日本はなんとしても初戦で勝ち点を手にしないとダメだよな。

その初戦の相手の南アフリカは2大会連続3回目の五輪出場で、今回はアフリカ予選の3位決定戦でガーナをPK戦の末に下して出場権を手にした。印象としてはフィジカル能力が高いうえに、組織的で手堅いサッカーをやってくる。勝ち点を奪うには容易くない相手だよ。

次戦のメキシコとは2012年ロンドン五輪の準決勝で対戦して日本が敗れ、彼らは金メダルを獲得。今大会もメダルの有力候補だし、なんと言っても伝統的に戦い方が巧い。のらりくらり来たかと思えば、カウンターを仕掛けることもできる。手強いよ。

3戦目のフランスは、五輪出場は1996年アトランタ五輪以来だけど、弱いから出られなかったわけではなく、五輪に力を入れてこなかっただけ。キリアン・エムバペ(パリサンジェルマン)は不参加のようだけど、他にも注目選手が揃っている。

いま行なわれているU−21欧州選手権2021は、実質的にはU−23年代の選手たちが出ているんだけど、その大会のフランスの顔ぶれが凄いんだよ。

エドゥアルド・カマンビガ(レンヌ)、ジュル・クンデ(セビージャ)、イブラヒマ・コナテ(ライブツィヒ)、ブバカール・カマラ(マルセイユ)、ウェスレイ・フォファナ(レスター)、ジョナタン・イコネ(リール)、ブノワ・バディアシル(モナコ)。

彼らが東京五輪にも出てくる可能性は高い。U−21欧州選手権を見る限りだと、チームとしての粗さもあるんだけど、迫力は桁違い。日本は苦しめられるだろうけど、つけ入る隙がないわけではないな。

この3カ国から最低でも1勝1分1敗の勝ち点4を手にしなければ、決勝トーナメントには進めない。そうなるとやっぱりOA枠がカギになるよな。大迫勇也、遠藤航、吉田麻也の名前が上がっているけど、個人的には伊東純也を入れてもらいたいと思っているんだ。

五輪世代の右サイドには堂安律がいて、久保建英や三好康児もいる。タレントが揃っているポジションにOA枠を使う意味があるのかと思うかもしれないけど、伊東は他の選手と違ってどんな相手でも計算ができるんだよ。

堂安や久保といったテクニックや切れ味で勝負するタイプは、相手によってはまったく持ち味を発揮できないこともあるけれど、伊東の特長であるスピードというのはスランプはないし、相手が大きかろうと強かろうと持ち味は消えない。

伊東がベルギーリーグや日本代表で見せるプレーのクオリティーを考えたら、相手に押し込まれる展開になっても何回かは右サイドを切り崩してチャンスメイクしてくれると思うんだよね。

その少ないチャンスを決めて勝つしかないから、中央で決めるフィニッシャーが大事になってくる。ポストプレーで2列目の選手を生かせる大迫をOAで入れるとしても、日程面を考慮したら彼ひとりで全試合をまかなえるものでもない。上田綺世や前田大然といった五輪世代のFWも頑張らないといけないよな。

そうなると残るOA枠はひとつ。遠藤か吉田か。悩ましいところだよな。遠藤のボールを奪う能力は必要だし、吉田の世界のトップレベルで積んできた経験値も捨てがたい。他にも酒井宏樹だっているし、南野拓実や守田英正だって五輪世代だけでは足りないものを補ってくれる。誰を選ぶべきかは、本当に悩ましいところだよ。

開催国なんだからOA枠は5つくらいに増やしてほしいよ(笑)。W杯やEURO、アジアカップもだけど、開催国が早々に敗退したら盛り上がらないんだから、それくらいのサービスがあってもいいんじゃないかと思っちゃうよ。

まあ、ここから五輪世代の選手たちが、ここからどれだけJリーグでアピールできるかで決まるんじゃないかな。

多くの選手が抜群のパフォーマンスを見せて、森保一監督がメンバー締め切りの直前まで悩むくらいになれば、日本五輪代表の東京五輪での決勝トーナメント進出の可能性が高まっていくと信じているよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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