もし、日本代表と川崎フロンターレが戦ったら? 宮澤ミシェルがシミュレーション「ガチンコに戦ったら、いい勝負になると思う」

川崎フロンターレについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第208回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、川崎フロンターレについて。今年も見事にACLの決勝トーナメントに駒を進めた川崎F。宮澤ミシェルはそんな川崎Fにぜひ戦ってもらいたいチームがあるという。

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ACL(アジアチャンピオンズリーグ)のグループリーグが終わって、日本勢はガンバ大阪は敗退したけど、川崎フロンターレ、名古屋グランパスとセレッソ大阪はしっかり決勝トーナメントに駒を進めたね。

9月から始まる決勝トーナメントがタイトル獲得への本番とも言えるけど、川崎としては今年は是が非でもタイトルを獲りたいよな。

もちろん、ほかのクラブだって本気で狙っているし、獲りたいと思っているはずだよ。だけど、川崎はこの何年もJリーグでは敵なしと言えるほどの強さを見せている。それなのにACLのタイトルには届いていないっていうジレンマがあると思うんだ。

過去にJクラブでACL優勝したのはG大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズ。川崎としては、ここに名前を連ねて名実ともにJリーグを代表するクラブになりたいはずだよ。

一般的にリーグ戦は1敗しても勝ち点の積み重ねで決まるから取り返しは効くんだけど、トーナメント戦は1敗も許されないから、守備を固めるチームの方がトーナメント戦で結果を残しやすい傾向がある。

だから、過去の川崎はACLで結果を残せなかった。だけど、それでも川崎には攻撃的なスタイルのままACLのタイトルを獲ってほしいし、それが実現できるだけのチーム力が川崎にはあるからね。今年こそはアジアの頂点に輝くのを期待しているんだ。

その川崎に試合をしてもらいたいチームがあるんだ。それが日本代表。

6月に日本代表vsU−24日本代表が行われて話題になったけど、それこそ大昔はクラブチームvs日本選抜みたいなマッチメイクはあったんだよ。

有名なのは85年のキリンカップだよな。読売クラブが日本代表に1−0で勝っちゃった。このときの読売クラブはラモス(瑠偉)がいて、ジョージ与那城さんがいて、日本選手も日本代表経験者が顔を揃えていて、国内で敵なしだったんだよね。

こういう試合は日本代表にはメリットはないんだよ。勝っても当然と思われるし、負ければ屈辱しか残らない。しかも、紅白戦の一環みたいなものだから、選手はやりにくいだけ。激しく当たりすぎて怪我させたらいけないなどの配慮が働くからさ。

ただ、新型コロナ渦で代表強化が捗らなかった状況を経験して思うのは、今後も同じような事態にならない保障はないだけに、年に1回『日本代表vsJリーグ王者』がやるのも手だと思うんだよな。

85年の読売クラブの頃とは時代が違うからね。当時は日本代表選手も国内組で、言い換えれば「読売vsそのほか」の構図だった。でも、いまの日本代表は海外組が主流で、チームとしての成熟度ではJリーグ王者の方が上回っている。日本代表が負けると屈辱だけが残ることにはならない気もするんだよな。

で、話を川崎VS日本代表に戻すと、ベストな状態でガチンコに戦ったら、いい勝負になると思うんだよ。

川崎がボールを保持しながら押し込む展開になるかと思いきや、日本代表は中盤で遠藤航の激しいデュエルでボールを奪うと、1トップ大迫勇也のポストプレーを活かしながら、南野拓実、鎌田大地、堂安律(もしくは伊東純也)が、川崎の守備を切り崩す気がするよ。

川崎も中盤の大島僚太、守田英正(現サンタクララ)や田中碧(現デュッセルドルフ)のところでゲームを組み立てて、日本代表のウィークポイントである左SBを、川崎の右FWの家長昭博から攻略して、1トップのレアンドロ・ダミアンと左FWの三笘薫(ブライトン)で勝負するっていうね。

頭のなかで両チームの持ち味やメンバー配置など考えながらシミュレーションするとキリがないよな(笑)。

まあ、実際にやってみたら、派手なゲームにはならない気もするよ。日本代表が前線からプレッシャーをかけ続けていけば、川崎が使えるスペースはなくなるだろうし、逆もまた然り。お互いが持ち味の潰し合いになるから、おもしろい展開にはならないと思うな。

ただ、新型コロナ禍によって海外から各国代表を呼べなくて日本代表の強化が思うように進まなかったことを踏まえれば、コロナ禍が明けてからも、同じような不測の事態に備えるために、年に1度は日本代表vsJリーグ王者のマッチメイクがあってもいいかもしれないね。

あらかじめ開催が決まっていれば、サッカーファン以外の多くの人たちの興味や関心を引くことにはなるだろうしさ。

それはそうと、川崎からはこの夏に三苫と田中碧が海外クラブへ移籍するけど、普通なら9月から始まるACL決勝トーナメントが少し心配になるところ。だけど、川崎には「大丈夫!」という自信があるってことなんだろうね。

中盤は大島僚太も戦線に復帰したし、FWには小林悠や長谷川竜也、知念慶もいるからね。戦力は揃っている。チームの状態もいい。そのなかで川崎が悲願のタイトル獲得に向けてACLの決勝トーナメントをどう戦うのか。しっかり見届けていきますよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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