「以前のような輝きが見られない」宮澤ミシェルが憂うラ・リーガの現状

ラ・リーガについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第221回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、ラ・リーガについて。ここ数年、チャンピオンズリーグの優勝から遠ざかってしまっているスペイン勢。宮澤ミシェルはその現状を心配しているという。

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2018年夏にクリスティアーノ・ロナウドがレアル・マドリードからユヴェントスへと移籍したのに続いて、今夏はリオネル・メッシがバルセロナを退団してパリ・サンジェルマンへ移籍した。

今季のラ・リーガは新たな時代に向かって転換点にあるけれど、2010年代のラ・リーガを象徴した二人のスーパースターが抜けた穴は簡単には埋まらないだろうね。

メッシのバルセロナと、C・ロナウドのレアル・マドリードがしのぎを削り合って、国内リーグ戦だけではなく、ヨーロッパを舞台にしたチャンピオンズリーグでもスペイン勢が長く全盛期を誇ってきた。

チャンピオンズリーグはメッシとC・ロナウドがラ・リーガで揃ってプレーした2009年から2018年までの9シーズで、レアル・マドリードが優勝4回。バルセロナは優勝は2回。3大会のうち2大会はスペイン勢が優勝する図式になるほど、この両クラブは強かった。

この2チームを追いかけたアトレティコ・マドリードやセビージャなども当然レベルアップして、ヨーロッパを舞台にした大会で他国リーグのクラブを押しのけて活躍したよね。

だけど、2018年にC・ロナウドがラ・リーガから抜けてからは、チャンピオンズリーグでのスペイン勢はそれ以前のような輝きは見られないんだよね。

まあ、各国リーグでCL出場権に次ぐレベルが基本的に出場するヨーロッパリーグでは、2019−2020はセビージャ、2020−2021はビジャ・レアルが優勝と相変わらずの強さを誇っているんだけどさ。

でも、やっぱり各国リーグのトップレベルが集まるCLで勝てなくなったことは、ラ・リーガ関係者は危機感を覚えているんじゃないかな。

今夏にC・ロナウドはユヴェントスから古巣のマンチェスター・ユナイテッドへ電撃復帰したけれど、ここ数シーズンのCLを見ているとイングランド勢の隆盛期を迎えつつある。

2018−2019はリヴァプール、2020−2021はチェルシーがCL王者になったし、マンチェスター・シティーだってペップ・グアルディオラのもとで優勝に確実に近づいている。アレックス・ファーガソン退任後は長いことイマイチ冴えないマンチェスター・ユナイテッドがC・ロナウドを加えたことで、どうなるかは楽しみだよ。

このイングランド勢に、世界屈指のタレント軍団になったパリ・サンジェルマンとバイエルン・ミュンヘンを加えたのが、CLの優勝候補だといえると思う。

レアル・マドリードとバルセロナの名前を挙げるのをためらってしまうのが、ラ・リーガの中継に長く携わってきた者としては寂しいよ。

レアル・マドリードは相変わらず中盤はモドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロだもの。カマヴィンガやバルベルデなども使ってはいるけれど、圧倒的な迫力がないんだよ。CL第2節ではシェリフに1−2で敗れたりしてさ。

シェリフがどこの国のチームかすぐに出てこないでしょ? モルドバのチームなんだけど、そこにホームのサンチャゴ・ベルナベウで負けちゃうんだもの。

それでもラ・リーガで首位を走るだけレアル・マドリードは救いはあるよ。苦しいのはバルセロナだよな。リーグ戦7試合を終えて3勝3分1敗の9位。CLにいたっては開幕戦でバイエルンに0−3と粉砕されて、第2節でベンフィカ(ポルトガル)に0−3の大敗。2戦0勝2敗でグループリーグ敗退の危機に瀕しているんだよ。

選手個々に目をやれば昨年から主軸になったペドリなど将来有望な若手もいるんだけれど、ペドリはCL第1節のバイエルン戦以降は故障で戦線離脱。ペドリを欠いてからのリーグ戦は格下のグラナダ、カディスと引き分け、アトレティコに2−0で敗戦。

メッシが抜けたバルセロナは得点が取れない。ゴールが奪えないのなら守り勝てばいいんだけど、いまのバルサは守備もボロボロ。クーマン監督の解任論も出ているけど、それも仕方ないと思えるほど、上がり目が攻守で見つからないんだよな。

イタリア勢は2000年代に隆盛を誇ったけれど、その後は失った地位を取り戻せていないことを考えれば、簡単なことじゃない。だけど、守備が主体のイタリア勢と違って、ラ・リーガの2強は攻撃力だからね。そこを再構築できれば復権できるはずだよ。

これが産みの苦しみだと思いたいね。ここからしばらくは世界のサッカーはイングランド勢を中心に回っていくんだろうけど、2−3シーズン先にはスペインの二大クラブが復権を遂げると信じているよ。そのためのキッカケを見せてくれるのを期待しているんだ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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