アウェーでのオマーン戦勝利の日本代表に宮澤ミシェル「どうにかスタート地点に戻ってきてくれた」

オマーン戦について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第227回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、W杯アジア最終予選のオマーン戦について。W杯アジア最終予選の11月シリーズでは、アウェーで2連勝できたことに宮澤ミシェルも「ホッとしている」と語った。

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日本代表らしさを取り戻していける一戦にはなったんじゃないか。

W杯アジア最終予選の11月シリーズでベトナム代表、オマーン代表とのアウェー2連戦で2連勝。勝ち点6を上積みできたのは、本当によかった。

とくにオマーン代表に勝てたのは大きかったよ。9月のW杯アジア最終予選の初戦で負けた相手から勝ち星を奪って1勝1敗に持ち込めた。グループ内で眼下のライバルにアドバンテージを与えなかったことは大事だからね。

そのオマーン戦の試合内容を振り返れば、前半の日本代表はお行儀よく戦いすぎちゃった印象。日本代表は選手同士の距離感をつねに一定を保って戦ったけど、それだと相手もスライドして対応できるから、攻撃面での迫力が出せなかった。

4−3−3のフォーメーションの利点も生きなかった印象だね。選手の立ち位置が自然と三角形になる布陣だから、パスを回しながらポゼッションできるとか、インサイドハーフとウイング、サイドバックの3人が関わってサイド攻撃ができるとか、インサイドハーフがゴール前に入っていきやすいからセンタリングに合わせられる人数が多いとか、そういう利点を生かしたシーンは数少なかったな。

選手が考えすぎちゃってるんじゃないかな。普通にやればいいのに、選手個々がひと工夫しようとすることで、イメージの共有ができていなかったように感じたね。オマーン戦は柴崎岳が起用されたけど、ベトナム戦での警告で出場停止だった守田英正が出ていたとしても変わらなかったと思うよ。

正直、前半途中で嫌な流れだなと感じていたんだよね。右サイドの伊東純也を相手が徹底マークしてきたのもあって、攻撃での打開策は見えていなかったからね。この流れを変えるには、後半開始から局面を個の力で打開できる三笘薫の投入だと思っていたんだけど、森保(一)監督のことだから、きっと動かないだろうなと予想していたんだ。

それが、だよ。蓋を開けてみたら後半開始から三笘の投入だもの。素早く動いた森保監督に驚いちゃったし、期待値は俄然高まったよな。

三笘は最初のプレーで縦へと仕掛けて違いを見せてくれたのが最高だったね。あれでオマーン代表はきっと「こいつ、ヤバいな」と警戒心を高めたと思うよ。

ドリブルで三笘が仕掛けて相手陣に侵入することで、日本代表のほかの選手たちも自然と前のスペースに入って行けて、ゴール前に詰められるようになった。相手の意識が三笘に向くことで、ほかの日本選手へのマークが甘くなったよね。

ゴールシーンがそうでしょ。左サイドを三笘がドリブルで突破してクロスをあげて、逆サイドの伊東純也がゴール前に走り込んで合わせた。オマーン代表のDF陣の意識は三笘に向いてたよね。それにしてもあのゴールは、日本らしいシュートシーンだったよ。

三笘のプレーを見た誰もが「ベトナム戦でも使ってもらいたかった」と思うのは当然だけど、オマーン戦に向けて『三笘を隠した』したとするなら正解だったよな。真相は森保監督にしかわからないところだけどさ。

理想を言えば、そこから2点目、3点目を奪ってもらいたかった。でも、苦労したけど、どうにか勝つことができた。いまはアウェーで2連勝できたことにホッとしているよ。

日本代表は一時のどん底状態から抜け出して、どうにかスタート地点に戻ってきてくれた。オマーン戦に負け、その後のアウェーでのサウジアラビア戦にも負けた時には、今年の年末年始は真っ暗な気持ちで迎えることも覚悟したけど、どうにかそれは回避できたね。

11月シリーズの2連勝で日本代表はグループ2位に浮上。オーストラリア代表が11月シリーズでサウジアラビア代表、中国代表と2分けしたからなんだけど、日本代表としてはW杯アジア最終予選のスタートからつまずいて出遅れた分を挽回できた。

ただ、オーストラリアとの勝ち点差はわずか1。ここから先も油断はできないよ。年明けすぐの1月27日には中国戦がある。前回対戦時とは別チームだと思ってかからないと痛い目に遭うかもしれない。その5日後にはグループ首位のサウジアラビア戦が控えている。

W杯アジア最終予選のスタートからの4ヶ月、日本代表が苦しんだ理由を監督や選手それぞれが把握しているはずだから、ここからの2ヶ月で本来の姿を取り戻してくれるはずだよ。そして、年明けからの残り4戦のW杯アジア最終予選では、スカッとした勝利を見せてくれるとを信じているよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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